短篇

□恋の病
1ページ/4ページ

「弁慶さん!」
「どうしたのですか、望美さん?」
「これ、受け取ってください///」

望美が差し出したのは可愛くラッピングされた手の平サイズの小箱。やっと両想いになり現代で初めてのバレンタインを迎えた。この日の為、望美は譲に協力をしてもらいながら想いを込めた手作りトリュフを作成した。沢山作ったのだが納得のいく形が出来たのはほんの少し…それをまた四苦八苦しながらラッピングしたのだった。
「僕にですか?嬉しいですね。ありがとうございます。」

現代に来たばかりの弁慶には2月14日が何を意味する日だなんて知らないのだろう。いや、知られたくはない。知られていたらこんなに堂々と渡せなかったかもしれない。目の前に差し出された小箱を疑う事なく優しい微笑みで受け取る。その笑みを見るだけで望美の心拍は異常な程脈打っている。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ