花束

□愛燦々
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季節は梅雨を迎え、雨の日が続き、6月12日である今日も例外なく雨が降る。
でも今日この日だけは晴れて欲しかった。
だから照る照る坊主を作って濡縁に吊るした。
だが効き目がなく、人の気持ちも知らないでにこやかに笑っている。
何故、そんなに晴れることにこだわっているのかと言うと、今日は一年に一回の大事な日。
自分の誕生日だからだ。
そんな大事な日をきちんと景時は覚えてくれていて、デートをする事になっていた。


『その日はオレに任せてね』

なーんて景時が言うものだから期待せずにはいられない。
楽しみにしていただけに、外は雨で気分が落ち込む。
現代なら雨の日でも水族館に行ったり、映画館に行ったり楽しめたと思う。
だが、今は異世界の鎌倉。
当然ながらそんなものはない。
でも晴れていたら外出が楽しかったはずだ。
この天気に、デートプランがダメになったのではないかと思う。

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