花束
□勘違い
1ページ/9ページ
ここの屋敷の主である、梶原景時はある人物を探していた。
その人物は景時が密かに恋心を抱いている相手である。
最初に部屋を訪れたが姿はなかったので、朔か望美の部屋かと思い、廊下を歩けば反対から想い人がやって来て景時の心は踊る。
「優希ちゃん、やっと見つけた!!」
「どうしたんですか?」
「あ、いや、………特別な用事じゃないんだけどね」
優希を探す事でいっぱいで、その後何をしようか考えていなかった景時は恥ずかしくなり、頬を人差し指で掻く。
「景時さん?」
首を傾げて景時の行動を不思議に思っていると
「お茶でも飲みながら話なんてどうかなぁってさ」
と咄嗟に考えた事を口にすれば、優希はクスクス笑っていた。
「優希ちゃん!?」
今度は景時が首を傾げる。
「ごめんなさい、なんかナンパされてるみたいで」
クスクス笑いながら言うと
「…なんぱって?」
聞き慣れない言葉に景時は聞き返す。
「ナンパっていうのは」
「こんな処に居たのですね、優希さん」
優希がナンパの意味を話そうとしていると、弁慶がやって来て二人の間に入る。