花束
□愛燦々
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溜め息を吐きながら身支度を整え、景時の訪問を待つ。
―――トントン
「珠里ちゃん、いる?」
予定の時間より少し早く景時がやって来た。
「おはよう、珠里ちゃん♪♪♪」
「おはようございます、景時さん」
お互いに顔が自然とニヤけてしまう。
「早速なんだけど、出掛けようよ」
「えっ?」
部屋に上がってもらおうとした珠里が驚く。
景時は理由も告げず、笑顔のまま珠里の手を取ると外へと引っ張った。
「珠里ちゃんおいで♪」
傘を挿そうとすれば、景時が手招きをした。
何を意図するのか分かった珠里は恥ずかしくて戸惑う。
すると強引に手を引っ張られ、景時の傘に入る。
所謂、相合傘だ。
景時は傘を手の方の腕に珠里の手を置き、組む様にする。
「…こんな雨の日にどこに行くんですか?」
「ん〜と、ナ・イ・ショ♪」
「えー!?」
行き先が気になり、問えばはぐらかされてしまった。