花束

□慾
2ページ/5ページ

景時さんは陰陽術を活かして、占いなんかもしている。
この人だかりは、その占いでお世話になった人達みたいで、みんな口々にお礼の言葉を言っている。
私はそれを少し離れた所から様子を窺い、甘えられると思ってデート場所を市に決めたのが悪かったと深く反省する…
今の話の内容からして、迷子になった犬を探したんだと思う。
動物にも優しい景時さんだから、この老夫婦の頼みに何とかしなきゃって、必死になって捜しているところの想像が容易に付く。

「梶原様!あの時はありがとうございました」

今度は可愛い娘がお礼をと、景時さんの側に寄って来て私の心はざわつく。

「私、やっぱり彼の事が好きなので、諦めないで両親を説得する事にしました。」
「分かってくれると良いね」
「はいっ!」

恋の相談にものっていたみたいだ。
この様子を見れば景時さんが、みんなに頼りにされているのは解る。
でも、今は私とデート中…
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ