文
□鈍い人
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100HITキリリク
大作たん・金澤×柚木
「駄目だ。ったく何度言ったらわかんだよ」
「良いじゃないですか、減るモノじゃないんだし」
「そういう問題じゃないだろ…」
ここは屋上。俺が折角昼寝でもしてゆっくりしようと思ったのに…先客がいた。はっきり言って俺はこの先客が苦手だ。優等生顔した腹の底では何を考えているかわからない生徒、柚木梓馬が。
まぁ、最近俺の前では化けの皮を脱いでるけど。
生徒に対してこんな事言っちゃあ駄目なんだろうが仕方ない。何故なら俺にとんでもない要求をしてくるからだ。
「可愛い生徒のお願い聞いてくださいよ。
セックスの一回や二回…どうって事ないですって」
「ある。生徒にんな事出来るか。第一お前さん男だろ」
「俺が良いって言ってるんですから、別に構わないでしょ」
この野郎。しゃあしゃあと言いやがって。もてんだから他の奴とすりゃあ良いだろうに、俺をからかってんのか?
「悪いが冗談に付き合っている暇はない。じゃあな」
「帰るんですか?もっと此処に居ればいいのに」
と、クスクス笑う柚木。お前が居るから帰るんだよ、と言いそうになるのを堪えて屋上を後にした。
俺は甘く見ていた。柚木梓馬という男を、だ。
あれから一週間過ぎたが奴は諦めるという事をしなかった。
「金澤先生、いいでしょう?」
「そろそろ観念したら」
「たいした事ないスポーツじゃないですか」
いい加減にしてくれっ!
なんなんだあいつは。しつこ過ぎるぞ、柚木。
音楽室も正門前も広場もエントランスにも来やがって!!どうしてそこまで付き纏う!?
「はぁ」
つい苛々してたら、うっかり練習室に資料を置いてきてしまった。溜息を吐きながら扉を開ける。
「あぁ、どうしたんですか金澤先生」
嘘だろ、何でいるんだ。
「じゃ、邪魔したな。俺もう行くわ」
資料なんて後でいい。急いで身を翻し外へ…
「待って、先生」
出ようとしたのに、無理矢理引っ張られた。
「ねぇ、最近俺の事避けてるよね」
「…」
俺は無言で頭をガリガリと掻いた。
「何で?」
「…あのなぁ、あんなん言われても俺は困る訳。いい加減付き纏わないでくれ」
今度こそ…と思った時またもや邪魔された。
柚木が俺の背中に抱き着いている。
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