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□払い除ける手
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今でもたまにレッドアラートにいた頃を思い出す

そうなると暫く一人になりたくて
それなのに一人にしてくれない人が居る

必ず屋上か僕の部屋に決まって現れるゼロ

今回もやっぱりゼロは僕の後ろに現れた

屋上で緩やかな風を受けながら僕は後ろの気配が近付くのを感じて声を出した

「来ないで」

その声は震えて我ながら頼りない

今触れられたら甘えてしまう
いつか皆一緒に居られなくなってしまうかもしれない
だからたまに一人になって孤独に慣れておかないといけない

僕の言葉を無視して近くに来たゼロが手を伸ばしてくる

僕はゼロが伸ばしていた手をさっと払い除けた


「…アクセル」

ゼロが紡ぐ僕の名前はいつも魔法のようにくすぐったい気分にしてくれる


だけど今は
困る…


「どうしてお前はたまに苦しそうなんだ」

 
「…だって…」


「…失うのを怖がってどうして今を大切にしない?
レッドと…もしお前がちゃんと接していなかったら
お前は後悔するだろう?」


ゼロの言葉を聞いて思い出が頭を過る
いつも優しくて
強くて、助けてくれて

「…うん…
そうだね、後悔するよ」

「それに俺達は簡単には死んでやらないからな
…例え結果が決まっていても大切にしない方が後悔するんだ」

「…うん
ありがとゼロっ
元気出たよ」

にっこりと飛びっきりの笑顔でゼロを見る

顔を赤くしてそっぽを向くゼロは耳まで真っ赤になっていた


「…可愛い奴め」

「う〜ん…
僕が可愛いとしたらそれはゼロのせいかな?」

「俺のせいか
まぁいいけどな」


ゼロのおかげでまた僕はこんな他愛ない会話で笑うことが出来る

幾ら感謝しても足りない位に…ね


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