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□闇夜に灯る多数の灯り
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「アクセル、今晩ちょっといいか?」

何気ない感じでゼロに今晩呼び出されアクセルは普段あまり誘ってこないが故に驚いた

「うん、いいよ?」

それを表情には隠すことなく承諾の返事を返すとゼロは微笑んで優しく言った

「分かった
日が暮れたら迎えに行くから準備しとけよ」

「うんっ」

いまいち理由も何も分からないがきっといいことなのだろう
アクセルは微笑んでいたゼロの顔を思い出しながらそう思った


そして迎えた夕暮れ時

何故か袴を着てこいと指示されて着る
そのまま部屋へ訪れたゼロを招き入れ一先ずお茶を飲んで休憩する

「ところで聞いてなかったけど何処に行くの?」

「ん?…秘密だ」

「…変なゼロ」

そんなこんなで家を出る

 
ゼロに連れて来られたのは人気の無い川辺だった


「もう少し時間あるな」

ゼロがそんなことを言うと川を下り始める

アクセルは良く分からないままついていく

暫く歩いたところで立ち止まる

川の近くには小さいながらも確かな光りが点々とあちらこちらに動いて輝いていた


「綺麗だろ?蛍」


「うん…
こんなところに蛍が居るなんてね」

そんな時だった

空から蛍の光りよりも強い光りと少し大きめの音


「アクセル、上を見ろ」

直ぐに見上げると夜空に打ち上がる大きな華

「花火?」

「…この二つの光景を見せたくてな」

「人気無いのに花火が見れるなんて思わなかったよっ」

夜空に咲く華を前に小さな光りが浮遊する

蛍と花火のコントラストはそれはそれは美しいものだった

花火が終わり二人は帰路につく

蛍に見送られるように帰って行く二人は笑顔で手を繋いでいた


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