短編
□友達卒業!
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───卒業、か。
今日私たちは雷門中を卒業した。
卒業証書を受け取り、式を終えて、私たちはそれぞれ友達や先生と別れを惜しみ、涙ながらにこの校舎を去ろうとしている。
『(…なんか実感ない、な…)』
私はそう思いながら皆の元へ向かう途中でふと校舎を見上げた。
『(…雷門……ばいばい。)』
私がまた歩き始めると、不意に腕を掴まれた。
この手の主はだいたい分かっている…が、一応振り向く。
『…豪炎寺、』
「…名前……」
豪炎寺とは所詮、友達以上恋人未満ってやつ。…私はこいつが好き。きっと、豪炎寺も同じ気持ちなんだと思う。だからこうやって、私のところに来たんだ。
…もう、そんな切なげな瞳を向けないでよ。悲しくなるから。
『…卒業、おめでと。』
「…お前もな。」
そう言って微笑み合って、自然に抱き合う。
周りから悲鳴が聞こえる。
『…好き。』
「……っ…俺もだ…」
やっと言えた。ずっと伝えたかった。
体を離せば、豪炎寺の顔が近づいてきて、私も目を閉じる。
ちゅ、
唇が重なり、再び悲鳴が上がる。
『…ん、』
離すと、豪炎寺は私を見つめて言った。
「…放さないからな。」
友達卒業!
(上等。……私も、絶対放してなんかやらないから。)
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