短編

□純情ボーイ
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ある日の帰り道。



私は幼なじみの守と一緒に並んで下校していた。





「…なぁ、名前。」





『ん?』






守は私の1歩ほど後ろで足を止める。
私もいつになく真剣な顔の守に違和感を覚えて立ち止まった。






「あの、さ…」





『…?』






「す、…好きだ…っ」






顔を真っ赤にして告白をした守は私の目をまっすぐ見つめている。




『(…なんだか私まで照れるよ…)』







ふと、私は守に意地悪をしたくなった。好きな子ほどいじめたくなる、ってやつ。


私は守に少しだけ意地悪な質問をぶつけた。







『…それで、どうしたいの?』






守は赤い顔をさらに赤くし、拳を握りしめた。






「…じ、じゃあ……オレがじゃんけんで勝ったら…付き合ってくれないか…?」






バカだなぁ、そんな事しなくても付き合うっていうのに。
まぁ…そこが守らしいっちゃあらしいんだけど…






『わかった。…いくよ?』





私は守が頷いたのを確認して、拳を握った。






『じゃーんけーんぽん!!』






私はグー。

そして肝心の守は……





「……!!」




チョキだった。



自分が負けてしまって、1人頭を抱えて打ちひしがれている守。




まったく…こういう時に限って弱いんだから。





いまだに顔を真っ赤に染めて唸っている守に向けて口を開いた。






『…言い忘れてたけど、』






そこで一旦口を閉じると、守の真っ赤な顔がこっちに向いた。






『3回勝負だから。』






緩む頬を抑えながら、守の真っ赤だけど嬉しそうにはにかんでいる笑顔が好きだなぁ、とか思った。










純情ボーイの思惑

(……や、やったぁぁあ!!勝ったぞ!)

(良かったね、)

(名前、あの……)

(好きよ、守。)

(!!!)





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