短編

□唐突な彼女
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『ねぇ、修也、』





「ん?」





『ちょっと、耳かして?』






ふいに名前を呼ばれ、その声の主の方に振り向くと嬉しそうな笑顔でそう言った彼女。



この部屋には俺と彼女…名前の2人しかいないのに耳を貸すなんておかしな話だ。

たまに突然こういう事を言うから驚かされる。






「…なにかあるなら言えばいいだろう。」





『いいから!』






いったい何なんだ、と思いながら仕方なく彼女に耳を貸す。





すると、彼女の甘い声が俺の耳元で発せられる。






『だーいすき。』





「……知ってるさ、そんな事。」





少し驚いたが、これもいつもの事だ。











唐突な彼女

そんないつもの事に慣れない、俺の心臓。








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