短編
□My Sweet Darling!
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「名前、」
彼に名前を呼ばれ、熱を持った鋭い瞳で見つめられれば、私はもう動けない。
『しゅう…っん、』
私が修也の名前を呼んで彼の姿を目で捉えるよりも早く、私の唇に修也のそれが重なった。
たまにある。
修也が突然私に甘えてくる事が。
口にはきっと出さないけど、私が思うに彼は、学校では誰からでも一目置かれる存在、部活ではエースストライカー、家に帰れば頼りになる長男となり、いつも気を張っている。
だから気を休ませる時間もほとんどなくて、自覚はなくても、精神的にすごく疲れているはず。
その事に気付いた時、私は彼に"私と居るときは何も我慢したり、遠慮することはないよ"と言った。
それからというもの、修也は私と2人きりになればかなりの確率でこうやって甘えてくるのだ。
正直、修也が甘えてくる事が好き。彼は誰にでも自分の弱いところを見せる事を嫌う。だから私に甘えてくれると、特別なんだなぁ…と感じて嬉しくなるから。
…それに私だって、たまには修也とイチャイチャしたい…し?
「考え事か?…余裕だな、」
『そんな事…んぅ…っ』
キスの合間に話かけてきた修也に意識を集中させる。
修也はキスが上手い。
少しの間唇を重ねているだけでも全身が痺れ、頭がクラクラする。
「…はぁ、名前…」
そんなに色っぽい声音で私の名前を呼ばないでよ。それだけで背中がゾクゾクしてどうにかなってしまいそう。
『ん…ぁ…っふぁ…』
口内に侵入してきた修也の舌を受け入れ、私も必死にそれに応える。
あまりに濃厚なキスに耐えられなくなった私の足は、ガクンッと膝を折ってしまった。
「おっと、」
修也は床に座り込んでしまいそうになった私の腰に手をまわして抱き寄せてくれた。
『は、修也……』
「大丈夫か?」
『う、ん……』
なんとか体制を直した私は、呼吸を整えながら何気なく修也の顔を見た。パチッと目が合えば、彼はニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。
「そんなに感じたのか?」
『ち、違っ…!!』
修也がドSたっぷりな笑みでそう訊いてくるので、私は急に恥ずかしくなって顔を染めた。
そんな私を見て彼はおどけたように、
「それは残念。」
と可笑しそうに笑った。
『もう…!!』
私がそう言って離れようとすれば、修也は私の手をぎゅっと掴んだ。
「もっと感じさせてやるよ、」
そう言った修也は掴んだ手を自分の方へ引き寄せた。
そして私の耳元に唇を寄せて
「腰が砕けるくらいに、な…」
『っ!!へ、変態っ』
「お前にだけだ」
『そういう問題じゃ…っん』
私の言葉を最後まで聞かず、再び修也は唇を押しつけてきた。
My Sweet Darling!
(修也のばか腰痛い!)
(そう言う割に、随分気持ちよさそうだったじゃないか。)
彼を拒めない私も相当ばかだ。
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なにこれ恥ずかしい(^q^)
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