短編

□ちゅーしよっ?
1ページ/1ページ







『ねーねー不動ー』






休み時間。
俺がぼんやりと窓の外を眺めていると、名前が俺の名前を呼んだ。






「…なんだ、」






俺が返事をすると名前は嬉しそうに笑いながら俺にしか聞こえないように言葉を続けた。






『ちゅーしよっ?』





「……っ!!」






可愛らしい顔で何を言いやがるんだこいつは。


俺は照れたのを隠すように吐き捨てた。






「…しねぇよばーか」





『えぇ…!?』






俺の言葉で一瞬にして名前の表情が曇る。

さっきまでウザイくらいの笑顔をしていたのに、今は眉が下がり、シュン、と項垂れている。






「…不動…私のこと嫌いになった…?」






子犬のような潤んだ目で上目遣いを決めるこいつは誰が何と言おうと可愛い。襲いたいぐらいに。







「…ハァ…んなわけねーだろ、…俺はな、名前。」






『……?』






「…俺は、その…お前と、2人きりの時にしかしたくねぇんだよ…」





『え…』






意味がわからない、とでも言いたいのかこいつは。






「だからっ!…お前のキスしてる顔を他の野郎なんかに見せたくねぇんだよ…!恥ずかしい事言わせんじゃねぇっ!」





『…!!』






俺の言っていることがやっと理解できた名前は、顔を真っ赤にして俯いた。




名前の反応があまりにも可愛くて、俺はついからかいたくなった。


俺が名前の顎を手で持ち上げると、名前は潤んだ瞳で俺の姿をとらえた。






「…っ!」





ただからかってやるだけのつもりだったのに、そんな顔をされたら止まらねぇじゃねぇか。


我慢できなくなった俺は、名前の顎をそのまま引き寄せて、彼女の唇にキスを落とした。



周りから悲鳴が聞こえてくるがそんなもん気にしねぇ。




唇を離すと名前は顔を真っ赤に染め上げて、何が起こったか分からないという顔をしていた。





「…お前が悪いんだ。」






俺はそう言うと、もう一度名前に口付けた。










ちゅーしよっ?

(結局みんなの前でちゅーしちゃったね。)

(うるせぇお前が悪いんだよばーか)






.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ