長編

□03
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「おはよう、山崎。」



『あ、お、おはよう豪炎寺。』




朝、学校へ行く途中でばったり豪炎寺と会った。別々に行く理由もないので、私たちは並んで通学路を歩く。

私は歩きながらチラチラと彼を見る。


昨日の部活の時からおかしい。何がって訊かれると、私が、だ。


今だって、豪炎寺を見ただけで心臓がバカみたいに速く動いて、運動をしているわけでもないのに体が火照ってどうしたらいいか分からなくなる。

彼とはいつも会っているはずなのに、今日はひどく緊張する。なぜだか、彼の顔を直視するのにすら勇気を要する。いったい私はどうしてしまったんだろう。




『(…なんか落ち着かないなぁ…)』




とは言っても目は自然と彼の方に引き寄せられ、昨日まではまったく気にならなかった彼の男らしい部分が今日に限ってやけに目に入る。

まだまだ成長期の体なのだろうけど、やっぱり女の子のような柔らかさは感じられないし、手も骨ばっている。ユニフォームのときに見える鍛えられた足や腕も、男女の違いを見せつけられているような気がして、どうしても男だということを意識させられてしまう。




『(…男、なんだよね…)』




私が豪炎寺の方を向いたままボーっとしていることに気が付いた彼は、不思議そうに首をかしげた。




「…山崎?どうかしたか?」



『え!?あ、なんでもないよ!気にしないで?』



「…お前、なんか昨日から変だぞ?熱でもあるんじゃ…」




そう言って豪炎寺は私の額に手をあててくる。
ひんやりとした彼の手が、私に触れる。




『…!!』




どうしよう、どうしよう!!豪炎寺の手が…!ていうか近い!
私の心臓は、これ以上ないくらいに速く脈打つ。

私が1人であたふたしていると、豪炎寺の手はスッと離れていった。




「熱はないみたいだが…大丈夫か?」



『だ、だだだ大丈夫だよ!!』



「…(どもりすぎじゃないか?)そうか…」




私の心臓は、ハイテンポでビートを刻み続けていた。(言い方かっこよくない?)

学校に着くまで、このドキドキはおさまることはなかった。







高鳴る鼓動

あーもう…!!






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