長編
□06
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今日はついに決勝戦。一度学校に集合してからみんなで会場に行く予定なので、私は荷物を持って通いなれた道を歩く。
『(いよいよか…)』
私は試合にでるわけでもないのに、すごく緊張していた。正直、手汗が半端じゃない。
無意識に手をぎゅっと握った。
『(私も、精一杯サポートするんだ…!!)』
心の中でそう叫ぶと同時に、ぐっとガッツポーズを決める。完全に危ない人である。…が、今はそんなこと気にしない。…やっぱりやめとこう。
そう思い直して手をおろすと、昨日の豪炎寺の言葉が頭をよぎる。
「もし、俺がゴールを決めて勝つことができたら…お前に言いたいことがある。」
私に言いたいことってなんだろう?
ものすごく気になるけど、彼はきっと約束を守ってくれる。私はそう信じて、学校への道を急ぐのだった。
そして学校に着いたのは出発の15分前。
時間的にはまだ余裕だというのに、ほとんどの部員がすでに集まっていた。
『みんな、おはよう!』
近くにいた武方たちに挨拶をすると、みんなは私を見る。
「あれ、お前1人なんだ?てっきり豪炎寺と一緒かと思ったけど。」
武方家の長男、勝はそう言って周りを見渡した。
『あーそういえば今日は会わなかったなぁ…』
豪炎寺の家とは方向が同じだから、登校中はしょっちゅう会うのに。彼の方が少し遠いんだけど。
『(まぁ、出発まではまだ時間あるし、心配する必要はないよね。)』
私はそう思い、開きかけた携帯をポケットにつっこんだ。
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