短編

□落ち込みキャプテンのI love you.
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『…え…』





突然開いたドアに驚いて立ち尽くしているあたしの目の前には俯いたマークが立っていた。





『…あの……マーク…?』




どうしたものかと、内心焦りながらマークの顔を覗き込もうとすると、マークの手がのびてきて、あたしを抱き寄せた。





『…!マー、ク…!』




「ごめん。」




『え…』





マークの突然の謝罪に驚きを隠せないあたし。

マークの表情を見ようと一生懸命身をよじるが、マークは思った以上に強くあたしを抱いているらしく、表情をうかがうことは叶わなかった。

諦めてあたしもおずおずとマークの背に手を回す。





『…マーク…』




「…俺、格好悪いだろう?」




『え…?』




「いつまでも引きずって…他の皆は吹っ切れてるというのに……ダサいよな…」



『っ、そんなことない!』



「…名前…?」




『そんなに落ち込むのはマークがそれほど頑張ってきたってことだよ!
確かにイナズマジャパンは凄かったけど……でもそれはマークや皆が悪いとかじゃなくて…こ、今回はたまたまその…運が無かったってだけで…っ!!あーもう!!なんか訳わかんなくなった!』




あたしがマークの肩口でまとまりの無い発言をしていると、耳元で小さくマークの声がした。





「…クス…っ」




『え、ちょ、マーク…!?』




突然笑うマークに戸惑うあたし。





「…ありがとう…名前のおかげで元気出たよ。」




『ほ…本当っ!?』





マークの予想外の反応に、思わず歓喜の声をあげてしまう。




「オレ…明日からまた頑張るよ」




マークのその言葉があまりにも嬉しくて、つい腕に力を入れる。




『うん!あたし応援してるから!』





あたしがそう言った直後、肩をつかまれてベリッと体を離された。
そして、まだ少し赤さが残る綺麗なブルーの瞳に見つめられる。





『…マー…ク…?』





あたしから目を離さない真剣な表情のマークから、あたしもまた、目が離せなかった。(…サッカーの時以外でもこんな表情出来たのか…)




「……ひとつ、良いか…?」




『え…うん…』





さっきまでとは一変したあたし達の空気。あたしもその空気に体を強ばらせていると、マークはあたしの頬を片手で覆った。

意外に角張った大きな手に、改めて男だと言うことを感じさせられてドキドキしてしまう。


そして、マークはあたしの目を真っ直ぐ見て、





「…I love you.」





確かにそう言った。






もう嬉しいやら恥ずかしいやらで顔から火が出そうだった。





『…っ!!』




「…これからも…ずっとオレの側に居てくれないか…?」




『……っもちろん…!』









そしてあたし達は甘い甘いキスをした。



















落ち込みキャプテンのI love you.

(マークの様子見に来たけど……)

(ミー達、行くに行けないね!!)

(仕方ないなぁ、アイツらは…)















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