短編
□親友からの脱却
1ページ/1ページ
『マーク!』
今日も学校が終わり、オレは部活へ行く準備をしていた。
そこへ可愛らしく響く名前の声。
名前はサッカー部のマネージャーであり、オレの彼女……と言いたいところだが、昔からの親友である。しかし、オレは彼女を友達という気持ちで見てはいない。…好きなんだ。
「名前、どうした?」
『一緒に部活行こうよ!』
「あぁ、もちろん。」
オレ達は他愛もない話をしながら歩いた。
「それでその時ディランが──」
『あははっ!やっぱマーク最高!さすが私の親友っ!』
オレは笑ってのけた。…しかし、゛親友゛という言葉がぐさりと胸に刺さった。
名前と一度別れてユニフォームに着替え、アップをしようとグラウンドへ向かった。すると、すでに着替え終わっていた名前とディランが楽しそうに話していた。
…ムカつく。オレ意外の男にそんな笑顔を向けて…たとえ相手がディランでも。
オレは2人の方へ近づき、いつもの調子で言った。
「ディラン、もうすぐ練習始めるから、そろそろアップ済ませろよ?」
「OK、マーク!」
ディランは走って去ってしまった。
「それと名前。」
『んー?』
「…ちょっと良いか?」
『…?良いけど…』
オレは名前を部室の近くまで連れてきた。幸い人は近くに居ない。それを確認すると、オレは名前を壁に押し付けた。
『…マーク…?なんか変だよ…?』
「…ごめん、オレは君を親友として見てはいないよ。」
『え…』
名前はとても悲しそうな顔を見せた。…ごめんな。
「…好きなんだ。…女の子として…」
『…マーク…?』
名前は目に涙を浮かべ、オレを見上げてくる。
あぁ、そんな可愛い顔をするなよ。抱きしめたくなるから…
『…っぅ…』
とうとう名前は泣きだした。
「…ごめん。いきなり…嫌だったよな。」
名前はふるふると顔を横に振る。
「…名前…?」
『…っわ、私も…好き…っ!』
「え…」
『ずっと…好きだった、から…!』
「…っ名前…!」
オレは堪らず名前を抱きしめ、キスをした。
『んん…っ!』
「……名前…」
唇を離して、数秒見つめ合う。
「…好きだよ、名前。」
親友からの脱却
(ワーオ、マークやるねぇ〜!)
(…ディランのやつ…)
.