短編
□行かないで
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駅のホーム。流れる人混みの中に、唯一立ち尽くしている男と女の姿があった。
「…オレ、もう行かなきゃ、」
『…うん』
「…じゃあ、な。」
そう言ってオレンジのバンダナが印象的な男は女に背をむける。
『…っ行かないでっ…!!』
しかし、女は男の背にしがみつく。
男はもう一度女の方を見た。
「…できるだけ電話もメールもするよ。」
『…たりないよ…っ!』
「おい円堂、そろそろ出るぞ。」
「…あぁ…もう少しだけ待ってくれないか、風丸…」
「…はぁ…さっきからそればかりだぞ、円堂。いい加減に―――」
「わかってる。…もう少し、あと少しでいいんだ。」
円堂と呼ばれた男は、風丸に申し訳なさそうな顔をしてそう言い、再び女に顔を向けた。
『円堂くん……』
目に涙を溜め、円堂を見上げる女。
「名前…」
円堂も女を見つめると、2人は抱き合った。
そんな2人を見て風丸は、呆れたように呟いた。
「まったく……たかが遠征だろう。」
離れることに変わりない!!
(円堂くん!)
(名前!)
(円堂くーんっ!!)
(名前ーっ!!)
(…ばかばかしい。)
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ただのバカップル(^q^)
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