黒バス長編

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『練習試合、ですか』
「そう、相手は誠凛高校だ。」



今日も部活を終え、皆が部室で着替えている間にちょっとした道具の片付けをしていると、さっきまで席を外していた監督に呼び止められた。

練習試合。久しぶりだ。
相手の誠凛高校はたしか、最近できた新設校のはず。それでも去年のIH予選では今の2年生だけで決勝リーグまで行ったのだから、実力はそれなりにある。そんな相手との試合は、ちょっと楽しみである。



『分かりました、じゃあ皆に伝えときますね。』
「あぁ、頼んだぞ。」



そして監督は去っていく。後ろ姿が丸い。メタボ…いやいや、ダメだ。失礼なことを考えてしまった。

そんなどうでもいい考えを振り払い、私は練習試合のことを伝えるべく部室のドアを開けた。

ガチャ、という音と同時に、着替え中である部員たちの視線が私に集中する。


「え、ちょ、名前センパイ…!?」



涼太が驚いたように私を呼ぶ。そうか、1年生が入学してからは部室にこうして着替え中に入るのは初めてだ。2、3年生は慣れているのであまり気にしていないみたいだけど。



『練習試合が決まりました。』



驚く1年生をスルーしてそう言うと、再び私に視線が集中する。



「…相手は?」



笠松先輩の問いかけに、誠凛高校だと告げる。



「誠凛か…新設校だが、実力はそれなりだな。」
『そうですね…』
「…誠凛って…中学んときの友達いるっス。」



私と笠松先輩が話していると、涼太がぼそりと呟いた。



『え…じゃあ、帝光中の…?』
「はい。目立たないけど、すごいんス。みんなも認めてたし。」



元チームメイトの話をする涼太は、どこか嬉しそうだった。



『そっか…』



これは、ますます楽しみかもしれない。
私は、口角が上がるのを感じた。






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短い。







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