短編

□静けさの中で
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『あ…』



海常高校男子バスケ部のマネージャーである私は、部活を終えて帰ろうとしている時に救急箱を部室のベンチに置きっぱなしにしていた事を思い出した。他の部員はきっと先に帰っているから、誰かが片付けてくれることはない。まだ校門だし、さっさと片付けて帰ろう。そう思って私は部室へと歩き出した。



『あ、あったあった』



部室のベンチには、やはり救急箱が。部室の鍵が閉まっていなかったことから、まだ誰かが残っていることが分かる。自主練でもしているのだろうか。救急箱を道具用のロッカーに入れて、扉を閉じた時。

ガチャ、


部室のドアが開いた。誰かと思いそちらを振り返ると、キセキの世代の1人で、1年生レギュラーの黄瀬くんだった。



「あれ、名前センパイ?」



汗だくでボールを持ってドアのところに突っ立っている黄瀬くんに、ベンチに置いてあった彼のものであろうタオルを渡した。



『自主練?お疲れさま。』
「あ、ありがとっス…センパイは何してたんスか?」
『ちょっと忘れ物してね。戻ってきたの。』
「ふーん…」



そう言いながら汗を拭う黄瀬くんは、やっぱりモデルをしているだけあってかっこいい。背も高くて顔もキレイだしスポーツもできて…



「…名前センパイ?」



私はいつのまにかボーッとしていたらしく、黄瀬くんの言葉で我にかえる。
なんでもないよ、と笑って返すと、黄瀬くんはじっと私を見つめてくる。



『…黄瀬くん…?』
「…センパイ、」



私を見つめながらジリジリと詰め寄ってくる黄瀬くん。なんとなく彼がいつもと違うような気がして、私も後ずさる。



『ちょ、黄瀬くん…っ』



黄瀬くんは私の声に応えることはなく、ただこっちに迫ってくる。私もそれに伴って後ろに下がるものの、ついに背中が近くのロッカーに当たってしまい、もう逃げられなくなった。

目の前まで来た黄瀬くんは片手にボールを抱えたまま、もう片方の手は私の顔の横に肘をつけていて、距離が尋常じゃなく近い。ドキドキとうるさい心臓の音が、黄瀬くんにも聞こえてしまいそうだ。
私は堪らなくなって、彼から目を逸らした。



「センパイ、本当は気付いてるんでしょ?」
『な、何のこと…ですか…』
「オレの気持ち。」



その言葉に、思わず顔を上げてしまう。しかし、その至近距離にはやっぱり耐えられなくてまた目を逸らす。

その様子を見てクスッ、と小さく笑った黄瀬くんは、私の顔を覗き込むように見てきた。うわぁ近い!



「こんなに、好きなのに。」
『…っ』



そんなこと、知っていた。分かりやすいほどのアピール、過剰に私と接触したがっているのはあの笠松先輩でさえもうっすら気が付くほどだった。



「…オレじゃ、ダメっスか?」
『…わ、私は、私たちの関係が変わることで黄瀬くんが部活に集中できなくなっちゃったり、試合に支障が出たりするかもしれないと思って、怖くて…だから今までは他の皆と同じように接してきた…でも、それじゃイヤなんだよね…?』



すがるように、だけどあくまで強気な態度の黄瀬くんに恐る恐るそう言うと、彼はイヤっス、とはっきりと告げた。それならば仕方がない。私はゆっくり息を吸うと、再び口を開いた。



『…結論から言うと、私も黄瀬くんが好き…だと思う。』



たしかに私は、黄瀬くんの気持ちには気付かないふりをしてきた。でも、どうやら私は自分自身の気持ちも抑え込んでいたらしい。それに気付いた今、それをまた抑え込むなんてできなくて。


不意に逸らしていた目を黄瀬くんに向けると、彼は顔を真っ赤に染めて目を丸くしていた。



『え、黄瀬く』
「今、好きって言った」
『あ、うん…』
「オレ、嬉しいっス!」



今までの静かな雰囲気が嘘のように、明るい笑顔を見せる黄瀬くん。彼は私の肩を掴むと、そのまま顔を近付けてきた。



『え、待っ』
「待てない。」



私の抵抗も虚しく、彼の唇が私のと重なる。
まぁ、こういうのもいいか。
そう思った私は抵抗をやめ、彼の練習着をぎゅっと掴んだ。

すぐに離れてしまった熱を少し名残惜しく思いながらも、私の心臓は騒がしいままだった。

そんな私を抱き締める黄瀬くんも、心臓の音が速い。



「本当、好きっス。」



ボールが床に落ちる音が、やけに響いた。







静けさの中で

(私もだよ、)




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またやっちまった(^q^)

ヒロインは2年生な設定です。

黄瀬くんは
待てができないワンコ系男子だと思う←

もっとイチャイチャさせて
甘くしたかった_(:з」∠)_

文才がない。

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