短編

□君のとなり
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今日は1ヶ月に一度の大イベント、席替えだ。





「(……俺は7番か…えーと………お!!一番後ろの窓際!!ついてるじゃん俺!!)」





半田は見事に皆から羨ましがられる席を勝ち取った。あとは気になる隣だが……





『(あたしは……7番……一番後ろだ……)』





半田の隣の席は苗字だ。





「あ、苗字……よろしく。」





半田は軽く挨拶を交わす。当然の事だが……




『えっあっあのっよろしく…!!』





何故か名前はテンパっていた。





「(…人見知り……?それとも挙動不審…、そんなに緊張してたとか……?)」





半田は疑問をかかえた。





「(…ま、いっか。)」





半田は考えるのを止め、授業の準備を始めた。





「じゃあ早速授業を始めるぞー!教科書の79ページ開けてー」







先生が声をかけ、皆は教科書を開く。勿論、半田も。しかし…







『(……!?な…無い…!教科書が……!まさか…忘れちゃった……!?)』






何やら隣であたふたしている名前。それを隣で見ていた半田は…





「(…こいつ絶対忘れてるだろ。…全く…しょうがないなぁ…)」




ガコン!





当然半田は名前の机と自分の机をくっ付け、その真ん中に教科書を広げた。





『え………?』




「忘れたんだろ?」




『うっ、うん…っありがとう…!』




「(っ……!!)」





不覚にも顔を赤くしてお礼を言う名前にときめいてしまった半田。





「(…びっくりした。こいつこんなに可愛いかった…?)」





そんなこんなで無事に授業を終えて休み時間に入る。





『あ、あのっ半田くん……!』




「ん?あ、苗字。どした?」





『えーと…さっきはありがとう!!それで、あの…あたし今は何も持ってないけど、今度!今度何かお礼するから……!!』





「……(かぁーわいい。ど真ん中だ。惚れたかも。)」





『……半田くん……??』





名前は返事をしない半田に声をかけた。





「あぁ、ごめん…そうだ……」





ダンっ





半田は名前を壁に抑えつけた。






『は…半田くん……??』





「…お礼、今貰っていい…?」





『…え?…な、何を……っ』






名前の唇に何かが触れた。温かく、柔らかい……






「ごちそーさま。」






『…!?は…っ半田くん…!!?今…何を……』






そう、名前の唇に触れていたのは半田の唇。





「あとで俺んとこ来て。」





そう言って半田はその場を去った。






***********






放課後



名前は半田の居場所を探していた。




『(うーん……半田くんどこに居るんだろ……)』





そして屋上のドアを開けると―――





『あ……』





「お、来た来た。」





『遅くなってごめんね…っ』





「フッ……いいんだって。」





その微笑みから一転、半田は真剣な顔になった。






「俺……苗字が好きだ。」






『え……っ?』






名前は顔を真っ赤にして驚いている。






「俺と付き合ってよ…?」





『ぁっ……勿論です…!!』





「ハハッ…好きだよ……名前」





半田は名前を抱き締めた。すると、名前の顔は更に赤くなった。





『あ、あたしも大好きです…!!』






そう言うと名前は自分から半田にキスをした。











ずっと俺のとなりにいてよ

(名前顔真っ赤……)

(は、半田くんも!!!)






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