短編
□キス魔な彼
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『…っ…ンンッ…ハァ…ッ』
あたしは苦しくて有人の胸をドンドンッと叩く。すると有人はゆっくりと唇を離す。
『…ハァッ……苦し……』
肩で息をするあたしとは裏腹に、有人は余裕な笑みであたしを見ている。
それが何か悔しい。
『…有人め……』
「ん?」
『ずるいんだよっ有人は…!いつもあたしばっかりやられっぱなしで、されたい放題で…』
あたしがまだその先の言葉を言おうとしたが、鬼道の言葉で遮られた。
「名前、それ以上言うと塞ぐぞ?」
そう言って有人はまた唇を合わせてきた。
『…ンン…ッ』
それは、今までとは違う深いキスだった。角度を変えて、何度もしてくる。
「…名前……」
舌も入ってきて、頭が真っ白になって何も考えられない。
『…ふぁっ……ん…』
しばらくして、やっと唇が離された。
『……っこんなの…っ聞いてない……!!』
「言ってないからな。」
『……っ苦しいよ…!あたし慣れてい…!!』
「俺はこれ以上の事もしていいがな…?」
そう言って有人はあたしの顎を手でクイッと持ち上げた。
あたしの彼は、
キス魔です。
(…な……!!)
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