短編

□本当の自分
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“言葉遣いに気を付けなさい”

“あなたは女の子なんだからもっとおしとやかに───”




『はぁ……』





どうして?何で大人の言うことばかり聞かないといけないの?


本当の自分を出すのはダメ?髪が短くて何が悪い?




『はぁ……』




本日二度目のため息。





「どうした?」





フと上から飛んできた声に顔を上げる。



すると、そこにはチームメイトの豪炎寺がいた。





『あ…豪炎寺……』




「何かあったか?」




……話してみようかな。





『実は、さ……』




あたしは自分の性格、男勝りで活発すぎるところを親に直せと言われる事を言った。





『あたしは、家庭科なんて嫌い。体育の方が好き。』




「あぁ。」




『動かないとやってられないし、運動が好き。走るのが好き。何よりサッカーが好き。』





「…あぁ。」





『あたしは他の女子と違って、男みたい。見た目も、中身も。……こんな女の子ってやっぱりおかしい?』




普通だったら皆、珍しいと思うだろう。あたしみたいな子。





「いや。」




『え?』





「…そのままで良いと思うぞ?名前は。少なくとも俺はそう思っているがな。」





…びっくりした。まさか豪炎寺がそんな事言うなんて。





『…ありがと…』





「気にするな。それに、名前には女らしいところもあると思うぞ?」





『え?』





その瞬間、あたしの唇には温もりが。



そして目の前には豪炎寺の顔。



キスされていると分かった途端、あたしの顔が赤くなるのを感じた。




唇が離れると、豪炎寺はフッと笑った。




「そういうところとか、な」




『な……っ!!』




「じゃあな。」




そう言って、豪炎寺はその場を離れて行く。



あたしはまだ動けずにいた。





『…ばか。初めてだったんだぞ…っ……ん?』




…でも、許してあげることにしようか。









その赤くなった耳に免じて、






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