短編
□あなどれない男
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只今家庭科の授業中。家庭科室では1つの机に4、5人ほどで班ごとに座る。
が……。
「………」
『………』
き、気まずい…!!!
実はあたし達の班は4人、しかし今日はその内の1人が欠席、1人は早退でなんと豪炎寺君と2人だけなのだ……!!!
あ、ちなみに今日の授業はお裁縫です。
『………』
何か話した方が良いのかなぁ…でも授業中だし…あ、でも皆ザワザワしてるか……。
あたしはそんな事を悶々と考えながら不器用ながらに波縫いをしていた。
『…!っいったぁ…』
なんと、針で自分の指を刺してしまった……。
豪炎寺君に気付かれたかも……。
指からは血が出てくる。
…こんな事なら絆創膏持って来たら良かった……
まぁ、今更何を思ってもしょうがないけど…
血が出ている自分の指を横目に、豪炎寺君をチラッと見る。
『あ…。』
ばっちり目が合ってしまった。気付かれた?
「…刺したのか…?」
豪炎寺君はあたしの指を見ながら言う。
『あ…あはは…やっちゃった……』
バレてたとは……恥ずかしい……
「大丈夫か?」
『う、うん!大丈夫大丈夫!!舐めときゃ治るって!!』
余計な心配をかけてしまった…何やってんだあたし!
不器用な自分が憎い……
ふと豪炎寺君があたしの手首を掴み、指の傷口をじっと見つめている。
『……豪炎寺君……??』
「…………」
そのまま豪炎寺君はあたしの指を口に入れる。
『!?ご、豪炎寺君!?ななな、何して…!!』
「………」
豪炎寺君はあたしの指を舌で舐め続ける。
『っ…!!』
絶対顔真っ赤だ、あたし。
やっと豪炎寺君の口からあたしの指が解放され、目が合う。
『…っ』
「…顔が赤いぞ…?感じたのか?」
ニヤリとした笑みであたしを見下ろす。
『か、感じてなんか…!!大体、何であんな…!』
「…舐めときゃ治るんだろ??」
『そ、それは…!』
澄ました顔でそんな事を…!!
この男…あなどれない。
豪炎寺修也
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