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□忘れたはずの想い
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『うぅ〜んっ』



腕を精一杯上に伸ばし、ストレッチをして固まった体をほぐす。
私は長い時間電車に揺られ、何年かぶりに稲妻町に帰ってきた。
この町に来て真っ先に向かうのはもちろん雷門中。



『お、やってるやってる』



雷門中のグラウンドでは、サッカー部が汗だくになりながら練習に励んでいた。
その傍らでサッカー部員を見守っているのはマネージャーらしき女の子たちと…



『円堂!』



大声でかつての仲間の名を呼べば、たくさんの視線が私に向けられた。



「名前!」



私が彼の傍まで駆け寄れば、昔と変わらない笑顔を向けられる。



『久しぶりね!』
「あぁ!最後に会ったのはいつだったかなぁ…」
『あんた達の結婚式でしょ?』
「あ、そうか」



思い出話もそこそこに、私は一度雷門中を出た。
夕方、再び彼と会うことを約束して。



***********


そして夕方。久しぶりに、ある喫茶店に入るとすでに円堂がいた。



『お待たせ。』
「おう、」



私は彼の正面に座ると、とりあえずキャラメルマキュアートを注文した。
それを見た円堂はクス、と笑う。



「相変わらずだな、お前。」



私は昔からここに来ると、必ずと言っていいほど毎回キャラメルマキュアートを飲んでいた。
円堂はそれを覚えていたらしい。



『円堂も、人の事言えないんじゃない?』



私は彼の目の前にあるカフェオレをチラリと見やった。
お互い変わってないな、と言って2人で笑いあう。



「それにしても、なんでいきなり戻ってきたんだ?」
『やっと仕事が落ち着いたの。せっかくの連休だし、久しぶりに戻りたくなっちゃって。』
「…そっか。」
『そうだ、夏未ちゃん元気?最近全然連絡できてなくて…』
「…あぁ、元気だぜ。…料理は相変わらずだけどな。」
『ふふっ、夏未ちゃんらしい!』



私がそう言ったところでキャラメルマキュアートが運ばれてきた。

久しぶりに飲んだ変わっていない味のそれに懐かしさを感じていると、不意に円堂が真剣な表情で私を見つめていることに気付く。



「…なぁ。」
『うん?』



私は返事をしてティーカップを一度テーブルに置く。



「…今晩、うちに来いよ。」
『…え…』



その時、円堂の瞳の奥に密かな炎が見えた気がした。



「夏未のやつ、明日の昼ごろにしか帰ってこないんだ。お前のホテル代とかも浮くし。」
『…うん、じゃあお邪魔しちゃおうかな。』



その後、近くのファミレスで夕食を済ませ、円堂の家にお邪魔した。



『お邪魔しまーす…』



円堂はカチャリ、と玄関のドアを閉めると、突然背後から私を抱きしめた。



『え、円堂…っ!』



私は驚いて振り向く。すると、視界いっぱいに円堂の顔が映り、唇に温かい彼の体温を感じた。



『んん…っ』



私を抱きしめる力強い腕に、忘れたはずの想いが込み上げてくる。
頭ではいけないと分かっているのに、彼を拒めない自分は最低だ。
円堂は、夏未ちゃんの旦那さんなのに。

だんだん深くなる口付けに、私も必死に応える。
一度唇を離すと、円堂は私を抱きかかえてリビングへ移動する。
そして彼は私をソファにおろすと、着ていた上着を脱いで私の上に覆いかぶさり、再び唇を合わせてくる。

キスの最中も、彼の手は休むことなく私の服を乱していく。



『は、円堂…』



一度唇が離れたときに私がそう呟くと、円堂は熱のこもった瞳で私を見つめ、口を開いた。



「名前呼べよ。…昔みたいに。」



彼はそう言うと、顔を私の首元に埋めた。



『…っ守…!』



私は、ゾクゾクとした刺激に襲われながら、彼の名前を呼んだ。

その夜、私はかつての仲間であり友人の旦那様である彼と、その関係を超えてしまった。





忘れたはずの想い

ごめんなさい、夏未ちゃん。
私はまだ彼の事が好きみたいです。



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久しぶりに再会した昔の仲間がびっくりするくらい綺麗になっていて我慢できなくなってしまった円堂監督(^q^)hshs←


夏未ちゃんごめんね(´;ω;`)


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