GO!

□ひとくち
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学校帰りに寄ったコンビニを出ると、偶然太陽くんと出くわした。



「あれっ、名前!」
『やっほー太陽くん』



ちょっと待ってて、と言った彼はコンビニに入っていく。待っててと言われたからには待つしかないので、私は先ほど買った肉まんを取り出してかぶりつく。温かくておいしくて、思わず頬が緩んだ。

肉まんを全部食べ終わらないうちに、買い物を済ませた太陽くんが出てきた。



「お待たせー!」
『早かったね』
「せっかくだから名前と一緒に帰ろうと思ってさ!」



にこにこと人懐っこい笑顔を浮かべている太陽くんは、本当に太陽のような人だ。明るくてまぶしい。それが羨ましくて、目が離せない。

じゃあ行こうか、と2人で帰路を歩き始める。


「でさー、」



太陽くんの話を聞きながらひたすら肉まんを頬張る。私食べるの遅いな…
ふと視線を感じて隣にいる太陽くんを見ると、彼の視線は私の肉まんに注がれていた。



「いいの食べてるね。」
『え?ああ…』



ひとくち食べる?なんて冗談で言うと、あろうことか太陽くんは私の持った肉まんにがぶり、と食らいついた。
それに驚いて、私が目を丸くして太陽くんの歯形のついた部分を見つめていると、太陽くんが私の顔を覗きこんでくる。



「うん、おいしい!…って、名前?え、もしかして冗談だった?うわぁごめん!」



至近距離で慌てる太陽くん。肉まん一口ぐらいでそこまで落ち込まないよ私…それより顔が近い…!
そして何より、太陽くんとか、間接キスを…!なんてぐるぐると考えていたら顔が熱くなって、冬だというのに変な汗まで出てきた。あぁもう、太陽くんのせいだ…!



「本当にごめん、名前…なんなら新しいの買ってくるよ…」



しょんぼりとした様子で謝ってくる太陽くんに、残った肉まんを押し付けた。こんなに真っ赤になった顔を見られたくない一心で一生懸命彼から顔を逸らす。



「え、名前?これ…」
『太陽くんのバカ。』



肉まんと私を交互に見つめながらあたふたしている太陽くんを置いて、早足にその場から逃げた。





ひとくち

(名前ー!?)
(こ、こっちに来ないで!)
(ひどっ!)


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太陽くんきゃわええ



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