短編
□そんなのただの建前
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私と幸男は所詮幼馴染みというやつで、小さい頃からいつも一緒。学校もずっと同じところに通っているし休みの日は一緒に出掛けたりご飯を食べたりもする。
『ねーゆきー』
「あ?」
『この選手のさー』
今日も私は幸男の部屋に入り浸る。幸男も幸男で文句を言わないし、いつもすんなり受け入れてくれる。女嫌いである彼は、私を女として見ていないらしい。小さい頃からずっと一緒にいるのだから、当たり前といえば当たり前だけどちょっとむかつく。
『んー…』
私は今まで読んでいたバスケ雑誌を閉じて幸男のベッドに仰向けで寝転ぶ。なんでこうもバスケ関連のものばっかあるのかねぇ…ボールや雑誌以外にも彼の好きな選手のポスターが貼ってあったりする。おかげで私もバスケには詳しくなってしまった。バスケと関係ないものといえば、彼の趣味であるギターや音楽プレイヤーなど。このバスケ馬鹿め。まぁ、そこが長所でもあるんだけど。
それにしても暇だなぁー。幸男も今はギターをいじっていてたまに音を鳴らすくらいだし。せっかく来たんだから構ってよー
ゲームしたい…などとぼんやり考えていると、なんだか少し眠たくなってきた。うわーダメだ、瞼が言うことを聞かない…
諦めて一度目を閉じた。…が、すぐに何かの気配がしてうっすらと目を開ける。すると、目の前には幸男の顔があった。
『…ゆ、き…?』
「…」
幸男を呼ぶと、彼は何やらもぞもぞと動き、あろうことか私の上に跨がってきた。びっくりして眠気も吹っ飛ぶ。どうした幸男。
『なにして…』
「…お前、幼馴染みだからって油断しすぎじゃねーのか。」
『は…』
「オレだって、男なんだよ。」
幸男はそう言って私の首もとに顔を埋める。首に口付けられ、背筋がゾクリと震えた。
『なっ、ゆき…!』
「もう黙れ。…オレは、お前を幼馴染みとして見ちゃいない。そんだけ言っとく。」
『なに言って…!』
「分かれよ。…惚れてんだよ。」
真剣な目で見つめられ、幸男から視線を外せない。彼が今までとは違うように見えて、鼓動がうるさくなる。
『…調子乗んな。』
そう言って私は幸男の首に腕を回した。
幼馴染みなんてただの建前
お前の傍にいる口実が欲しかった
(女嫌いって設定はどこいったの)
(設定とか言うな)
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誰だこれ…
高尾あたりでもよかった気が
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