他
□スターの言い訳
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『゙輝き しびれさせるスター゙…か…』
私はジムの目の前にある看板を見て呟いた。
ナギサシティのジムは、8つ目のバッジを手に入れることができる、シンオウで一番強いと言われるジム。そして看板に書いてあるのはジムリーダーの事だろう。
『(…デンジさん…ね。)』
ジムリーダーの名前を確認して、私はジムの中に足を踏み入れた。…そのとき。
ガタンっ
『っ!?』
突然辺りが真っ暗になった。ジムの電気が落ちたようだ。おかげで自動ドアも開かない。ジムに閉じ込められてしまったらしい。
『はぁ…なんでこのタイミング…』
運悪く私の周りにはここのトレーナーさん達がいない。見渡す限り、私は1人らしい。部屋を明るくできるようなポケモンも持ち合わせていない……私は諦めてその場にしゃがみこんだ。
……今さらだけど、私は暗いのが苦手だ。昔から暗いところにいると無性に不安になり、泣きそうになる。
『誰かきてよ…!』
私はそう呟いてから、両手で抱えた足に顔を埋めた。
「……誰かいるのか…?」
誰かの声が聞こえて、私は顔を上げた。その人物は懐中電灯を持ってこちらを見ていた。
『…あ…』
気付かないうちに私の目には涙がたまっていたらしく、顔を上げたと同時に頬に流れ落ちた。
「…!…泣いているのか…?」
『…っごめんなさ…っ』
私はあわてて涙を拭いた。しかし、人がいた事に安心してか、涙は止まってくれなかった。
私が1人焦っていると、その人はこちらに近づいてきた。
そして、私の目の前までくると、しゃがんで私の頭に手をのせた。
「…悪いな…この停電は俺のせいなんだ…」
『え…』
「…ごめんな。」
とても優しい声だった。暗くて顔がよく見えないが、きっと良い人なんだろうな。
私がその声の主をよく見ようと少し顔を近付けた瞬間、パッと視界が明るくなった。
「あ、」
電気がついた。おかげで周りがよく見えるようになった…のはいいけど、思いの外目の前の男と顔が近いのと、彼の綺麗な顔のせいで、体温が上がっていくのが分かった。
『……!』
「…っ」
向こうも顔の距離を意識したのか、自身の手を口元にもっていき、目をそらした。…顔赤いですよ。
私はこの微妙な空気に耐えられず、口を開いた。
『…あの、お名前は…?』
「あぁ…デンジだ。」
デンジ…さんか。…ん?どっかで聞いた名前…
『あ、』
「ん?」
『…あなたが…ナギサのスターですか。』
私はさっき見た看板を思い出した。
「あー、まぁ、な。」
デンジさんは照れたようにそう言った。
『あ、私は名前っていいます。今日はあなたに勝負を挑みにきたんですけど…』
「あぁ、そうだったのか…悪いな。」
『いえ、もう電気つきましたし!』
「…いや、俺が謝ってるのは停電の事じゃない。」
『え…?』
私の腰にデンジさんの腕が回り、ぐいっと引き寄せられた。
『え、ちょ…っデンジさん…!?』
「…どうやらあんたに惚れたらしい。」
デンジさんは私の耳元でそう言うと、軽いキスをひとつ落とした。
停電とあいつ
(えぇぇえっ!)
(だからまともに戦えそうにないんだ。)
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