他
□君がいないとダメなんだ
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ある日の午後。
「名前、」
『ん?どうしたのデン……っ』
デンジの家でのんびりと過ごしていると、ふいに名前を呼ばれた。そして私が振り向くとこれだ。
『…っちょ、はぁ、デン……んん…っ』
「……は、名前…」
『ふ、んぅ……』
目をうっすらと開くと目を閉じたデンジの綺麗な顔があって。
私の腰には彼の腕。
そんな愛しの彼にキツくキツく抱きしめられて、ひたすらにキスをする。
私の咥内を犯すデンジの舌に、私も必死に舌を絡める。
『ん…は、デンジ…っ』
「…っ…名前…!」
ドサッ……
私はキスをしたまま押し倒された。
私はデンジの様子がおかしいと思い、彼の服を握った。
そして、静かに唇を離した。
『…はぁっ……どうしたのデンジ…』
荒い息を落ち着かせつつ、私は彼に訊ねた。
「…お前が…」
『私…?』
「お前がいなくなる夢を見たんだ…」
切なげに眉を寄せながら言うデンジに、胸がキュウ…ッとなった。
『私はどこにも行かないよ。ずっとデンジの傍にいるよ?』
そう言いながらデンジの頬に小さくキスをすると、彼の表情が柔らかくなったのが分かった。
「…そう、だよな…」
私はそう呟いたデンジに、さらに続ける。
『デンジが私に消えろって言っても、ずっと傍にいる。デンジが私を嫌っても、私がアンタを離さない。』
「…ばぁか。俺はお前に消えろなんて言わないし、嫌いにもならない。それに、俺もお前を離すつもりは毛頭ない。」
『うん。』
「…ずっと傍にいろ、名前。」
(さっきまで捨て犬みたいな顔してたくせに……)
私は心の中で少し毒づきながら、デンジの広い胸に抱きついた。
『あたりまえじゃない。』
君がいないとダメなんだ。
(だからずっと傍にいて。)
(だからずっと隣にいろ。)
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