□君がいないとダメなんだ
1ページ/1ページ





ある日の午後。



「名前、」
『ん?どうしたのデン……っ』



デンジの家でのんびりと過ごしていると、ふいに名前を呼ばれた。そして私が振り向くとこれだ。



『…っちょ、はぁ、デン……んん…っ』
「……は、名前…」
『ふ、んぅ……』



目をうっすらと開くと目を閉じたデンジの綺麗な顔があって。
私の腰には彼の腕。
そんな愛しの彼にキツくキツく抱きしめられて、ひたすらにキスをする。
私の咥内を犯すデンジの舌に、私も必死に舌を絡める。



『ん…は、デンジ…っ』
「…っ…名前…!」



ドサッ……

私はキスをしたまま押し倒された。

私はデンジの様子がおかしいと思い、彼の服を握った。
そして、静かに唇を離した。



『…はぁっ……どうしたのデンジ…』



荒い息を落ち着かせつつ、私は彼に訊ねた。



「…お前が…」
『私…?』
「お前がいなくなる夢を見たんだ…」



切なげに眉を寄せながら言うデンジに、胸がキュウ…ッとなった。



『私はどこにも行かないよ。ずっとデンジの傍にいるよ?』



そう言いながらデンジの頬に小さくキスをすると、彼の表情が柔らかくなったのが分かった。



「…そう、だよな…」



私はそう呟いたデンジに、さらに続ける。



『デンジが私に消えろって言っても、ずっと傍にいる。デンジが私を嫌っても、私がアンタを離さない。』
「…ばぁか。俺はお前に消えろなんて言わないし、嫌いにもならない。それに、俺もお前を離すつもりは毛頭ない。」
『うん。』
「…ずっと傍にいろ、名前。」



(さっきまで捨て犬みたいな顔してたくせに……)

私は心の中で少し毒づきながら、デンジの広い胸に抱きついた。



『あたりまえじゃない。』






君がいないとダメなんだ。

(だからずっと傍にいて。)

(だからずっと隣にいろ。)



.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ