□願いは君へ。
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ある日、俺と名前は夕飯の買い出しをするため近くのスーパーに来ていた。

だいたいの買い物が終わったところで名前が何かを見つけたらしく、歩いていた足を止めてそれを見つめた。
俺も足を止め、名前が見ている方を見ると、笹と短冊があった。



「七夕かァ……」



俺の呟きに気付いた名前は、嬉しそうな笑顔でお願い事を書こうと言ってきた。

その笑顔に負け、俺は「仕方ねぇな、」と言って彼女の手を引いて七夕コーナーに向かった。



『銀さんは何て書いたのー?』
「俺はもちろん、」



そう言って俺が書いた短冊を見せると名前は呆れた、とでも言いたげな顔をした。



『"パフェ食べたい"って…夢がないなぁー』
「うるせーなー。お前は何て書いたんだよ。」
『んー、ちょっと待って。』



名前の手元を覗けば、はまだ書いているみたいだったので俺は先に短冊を笹につけた。



『…よしっ』
「できたか?」
『うん、』



書けた、と言いながら笹につけようとしない名前を不思議に思い、俺は問い掛けた。



「…つけねぇの?」
『…お星さまに叶えられる事じゃないから』



そう言って名前は短冊を俺の胸に押しつけた。



「………」




"ずっと一緒にいてね?"


『…ちゃんと叶えてよ?』



少し顔を染めてはにかみながらそう言う彼女を、ここがスーパーだという事も構わず抱き締めた。



「……死んでも離さねぇから。」



名前の肩口でそう言えば、彼女はクスリと笑って俺の背中に手を回した。





願いはキミへ。

(願うまでもねぇけどな、)



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