小谷の姫

□とある母君の祈り
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 子供が元気に仲良く育ってくれる。
 いつでも、という訳にはいかないけれど、大好きな長政さまのお傍に居られる。
 信頼できる話し相手が居る。
 幸せに満ち満ちた日常がある。

 これ以上、望むことなんて何もない。
 この幸せがずっと続けばいい。

 大好きな人たちが傍で笑ってくれることが、こんなにも嬉しいことだったなんて、元の時代に居た頃は気付けなかった。
 みんなで一緒に居られる、そんな些細なことが嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。


 勿論、兄者のことも忘れてはいない。
 普段は傍に居ることができない多くの人のことも。
 だけど、不思議と心細くはなかった。

 一方的に兄者の戦果が情報としてもたらされるだけで、姿は見えないけれど、どうしてか私のことを案じてくれていることが分かっていたから。
 きっと私がこうして近江の地で彼の人を想うていることも、筒抜けなのだろうと思えた。
 これが信頼というものだと、改めて知った。

 どうか神様、日ノ本中が、世界中が、この幸せで溢れますように。


 そうすればきっと、戦なんていう馬鹿げたものは此の世から消えて無くなってしまうから。

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