小谷の姫

□とある少女の回想
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「市……。そなたは生きよ」

「長政様……っ!」

 今でも、耳の奥に残る囁き。私の胸の傷をえぐる。
 あの日、紅に染まった戦場で……、彼は、自害した。



 淺井家四代目当主・淺井長政。享年29歳。



 一陣の風が吹きぬける間すら与えられない位に短かった生涯で、一体彼は、何を思っていたのでしょう……。
 私にはきっと、いつまでも分からないのでしょうね。それでも私は……、貴方の名を叫び続けましょう。



 ――長政様……!!
 

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