小谷の姫

□とある少女の兄者
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「良かったのですか……?」
 歩きながら、私は問う。
「何がだ」
 信長――私の兄となった人物――は、振りかえりもせず訊き返す。
「何がって……」
「ああして母上も許してくれた。今日からここがお前の家だ。何か問題でもあるのか」
「いえ……」
「なら、何も気に病む必要はないであろう?」

 いや、実は問題大有りですって。元の時代に帰してください。……と言う訳にもいかないのが世の中だ。
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