小谷の姫

□とある姫君の宣誓
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 ……だけど。だけど、ね。

『お姫(ヒイ)様は身長が高いですから、おはしょりは無くして着付けましょうか』
 着付け方なんて知らない私に着物を着せてくれた侍女さん。凄く明るくて、私も笑顔になれた。

『市、何か不安な事があったら、いつでもおれを頼れ』
 織田に来たばかりの時から、ずっと私の事を気にかけてくれた信包兄様。あまりお会いする機会は無かったけど、それでも、私を本当の妹みたいに可愛がってくれた。

 そして。

『いつまでも私の妹でいてくれ……、市』
 私を保護してくださった、兄者。
 この時代に来るまでは、教科書の中の人物でしかなかった“織田信長”。だけど、いつの間にか、かけがえの無い家族になっていたんだ。


 月日が流れるのは本当に早い。
 今となっては、学校に通っていたのが幻だったみたいに感じる程。

 明日には、淺井に嫁ぐ。
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