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□お泊りと夜更かし
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「ねぇカイジさん、クーラーつけちゃダメ?」
「あ…?…1時間だけ…な……ぐぅ」
「暑くて寝られやしない…」
「寝るつもりもないでしょ」
「だって涯くんの寝顔だよ!貴重じゃないか!」
「くく…」


カイジさんの家にクーラーがあってよかった。
そうほっとしながら、クーラーのリモコンを手探りで探し始めた零。暗闇のため、探しても探しても見つからない。その様を楽しそうに見ているしげる。ちなみにカイジと涯は爆睡中である。
現在、深夜2時過ぎ。しげると零の2人は未だ起きていた。
暑さで寝られないのもあるが、修学旅行的な気分で胸が躍っているのもある。
友達と泊まるって言うのは、いつもと違う楽しみがあるのだ。一緒にご飯を食べて、風呂に入ったら一緒にまったりと過ごして、一緒に布団に入ったら夜遅くまで語りつくして。
初めての体験が心をときめかせる。…けれど、


「どうして涯くんは先に寝ちゃうかなぁ…」
「涯は健康的だからね。朝は筋トレしなくちゃならないし」
「じゃあ何でしげるは起きてるんだ?」
「別に…寝れないだけ」


零が呆れながらそう言うと、肘をついていたしげるが仰向けに寝転がった。くく、と笑い声が聞こえる。
零は真っ赤な舌をべっと出し、隣で眠っている涯を見つめた。思わずうっとりするその寝顔。


「はー…相変わらず可愛いなあ涯くん…」
「あんた変態みたいだね」
「失敬な!紳士と言え!しかし涯くん可愛いなあ…」
「…どの辺が?涯って普通の中学生じゃない?」


しげるが嘲笑うように言った。すると、それを聞いた零がすぐさま起き上がり、しげるの頭を掴んだ。


「それ以上涯くんの悪口いったら容赦しない」
「…(悪口…?)」
「しげるだってカイジさんのこと好きじゃないか。俺にはどの辺がいいのか分からないね」
「…カイジさんは…全部すき」
「別にお前の惚気なんて聞きたくないっ」


ぷいっとそっぽ向く。そして布団に戻り、再び涯を見つめ始める零。
蒸し暑い中、行儀よく布団をかぶって眠る涯は若干汗がちらほら見える。時折漏れる吐息が零を余計興奮させていたり。
無論、涯は爆睡しているからそれを知る由も無い。
その様子を見ていたしげるはまた呆れて溜め息。


「それで零は涯のどこがすきなの?」
「ん?」


涯からしげるに視線を変えて、零はにこりと笑って言う。


「そんなの決まってるだろ、しげると同じさ」


たった一言だけ、零は答えた。


「全部!」


涯が耳まで赤くなっていたのはしげるしか知らない。
夜は少しずつ更けていく。零はにこにこと涯を見つめ続けていた。







(…お前らうるさい…)(おはよカイジさん)(しげるおはようじゃねぇよ今何時だと)(あぁ涯くん可愛いなぁ)(カイジさん警察呼んで変態がいる)(しげるそれは変態じゃない零だ)


((お…起きられない…!))







(10.08.21)

お泊り楽しいよね!皆で語り合おうじゃないか!




 

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