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□世界の終焉を告げる君
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強く強く抱きしめた。
腕にすっぽり収まるお前は抵抗することなく、俺の背中に手を回す。静かに抱きしめ返してどうしたのと聞いてきた。

「ん、わりぃ…」
「謝りの言葉がほしいんじゃない。どうしたのって聞いてる」

怒ってるような呆れてるような声でそう言うしげる。

「もう会えねぇんじゃないかと…思って…」

ぼそりと小さく口にした。するとしげるはくつくつ笑う。そして身体を離して視線を合わせた。
真っ黒な瞳がまっすぐと俺の瞳を見据えていて、目を離したいのに離せなくて、俺は言葉に詰まった。
しげるがにやりと笑う。まるで猫のような笑みだった。

「俺がふらっとあんたの前に現れてふらっと出ていくのはいつものことだろ?急にどうしたんです?もしかしてさびしかった?」
「………」

そんな聞き方はずるいと思う。

「そばにいないなら気になるし、距離が離れれば気持ちも離れちまうだろ。俺は不安で仕方ねぇんだよ。いつかお前が俺の前からいなくなるんじゃないかって…」
「カイジさん、俺に恋してるみたいだぜ」
「…なんとでも言えよ。頼むから俺のそばから離れんな」

恋でも愛でもなんでもいい。俺はお前のあったかさをこうやって感じていたいんだよ。
もう1度強く強く抱きしめた。





(おまえの行動ひとつひとつが気になってしょうがねぇよ)



120604
恋する乙女な伊藤カイジ(21)


 

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