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□ここは俺の奢りな!
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喫茶店の奥の奥。外からは絶対見えない席に、俺としげるは座っていた。
どうして隠れるようにこんなところで会っているかというと、原因は俺にある。



「俺死んでるんだ」



それは相談に乗ってもらう為だった。
涯くんには絶対言えない最大の悩み。カイジさんでも良かったんだけど、今日は仕事らしい。だから、たまたま暇だと言うしげるに相談に乗ってもらうことに。
でもしげるって涯くんにやたら絡むから俺はあんまり好きじゃないけどな。まあ人に言えばちょっとは心軽くなるとか言うし、この際気にしないさ。



「へえ」



意を決して結論を言うと、しげるはどうでも良さそうにコーヒーを一口飲む。
なんでコーヒー飲むだけでそんな様になってんだよこの13歳意味不明。



「そこ否定しないのかよ?」
「だってアンタ崖から落ちてるし。あれは死んでるでしょ」
「ちょ、原作ネタ引っ張ってくんなっ!」



半ば呆れながら溜息を吐くのと同時にしげるが言う。



「じゃあなんで死んでるとか言うわけ?」
「…俺、涯くんが好きなんだけどさ」
「うん」
「え?普通驚くだろ」
「普段の零たち見てたら普通に分かるよ。それで?なんで死んでるって思うの」
「俺…おかしいんだ」
「は?」



自然に視線が下に落ちた。



「最近、涯くんが可愛くて可愛くて…食べちゃいたいって思うんだ」
「………」
「それ以外何も考えられない。24時間ずっと涯くんのこと考えて、その度に食べたいって思う。こんなの普通じゃない。俺は可笑しいんだよ。これって生きてるなんて言わないだろ?だから俺は、死んでるんだ」



しばし沈黙。
そのせいで周りの雑音がよく聞こえて耳障りだったけど、しげるの言葉によりその沈黙はすぐに破られた。



「じゃあ食べちゃえばいいんじゃない?」
「…へっ?」



思わず変な声を出して、ぱっと顔を上げた。
しげるは頬杖をついて俺を見ていた。そ、そんなに見つめたって俺は涯くん一筋なんだからな!



「なんでそんな考えに達するのか俺には分かんないけど、俺だってカイジさんが可愛くて仕方ないよ。…でも食べたりしない」
「…どうして?」
「カイジさんが泣くから」
「え、」
「カイジさんが苦しむし、悲しむし、何よりカイジさんが辛いから」



もうすでに冷め切っただろうコーヒーをまた一口飲むしげる。



「だから俺は食べたりしないよ」



…大事な事を忘れてたようだ。



「涯くんも…辛いよな」
「さあね、そうなんじゃない?」
「じゃあ俺も食べたりしないっ!」
「これで解決した?」
「ああ、ありがとなしげる!」


約束は守らせてもらうよ。





ここは俺の奢りな!
((たまにはしげるもいい事言うんだな!))((さて、カイジさん仕事終わったかな))



     * * *
この話の“食べる”について。これは病み的な意味の食べるでも裏的な意味の食べるでもどちらでもいけますね。あんまり意識せずに書いたからこんなことに。これはひどい!(・3・)
うちの零くんはしげる君を勝手に敵視してます。でもしげる君はカイジさんが好きなので、涯くんはただの友達です。そこんとこ零くんは分かってません。
って事は、零にとってこの世の人間全て敵ですね!うわーいwww

あ、涯くんとカイジさんまともに出てないのにわざわざ表記しちゃってすみませんでした。
 

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