SS

□この温度がちょうどいい
1ページ/1ページ






家に帰ると、こたつでぬくぬく温まるしげるがいた。



「おかえり、カイジさん」
「…お前な」
「アイスあった?」
「なんでこんなクソ寒い時期にアイスなんか…!」
「買ってきてくれなかったの?」
「…買ってきたけどよ」



はあ、と大袈裟に溜息を吐いた。
多分こいつには何も言い返せない。情けねぇだろ。残念ながらまぁもう慣れっこだ。泣かねぇよ!
靴を脱ぎ捨て、急いでこたつに入り込んだ。そしてアイスの入った袋をこたつの上にどんと置く。両手もこたつの中に入れて、冷えたそれを温めた。
ああ幸せ。
ふとしげるに目を向けると、なにやら顔をしかめていた。



「どうした?」
「カイジさん足冷たい」
「え、悪い。感覚ねぇから分かんなかった」



どうやら冷えた足がしげるの足に当たっていたようだ。手前に引く。



「そんなに寒いの?」
「お前外出てみろよ…吹雪だぜ」
「ふーん」



ちらりと外を見るしげるだったが、こたつから出る気配はない。
まあ寒いと知って外に出ようなら、そいつはよっぽどの馬鹿かマゾだな。普通じゃないか。
そんなことを考えていれば、やっと感覚が戻ってきた。
でもまだキンキンに冷えてら。うー手も冷てぇ。掌を擦り合わせてちょっとでも温めようとするが、なかなか温まらない。



「ん」



いきなり手を差し出され、少し警戒しながらなんだ?と聞く。
すると、しげるが口角を少し上げた。



「手出して」



新しい玩具を見るような瞳をしてそう言う。
俺の手が冷たいと知っているだろうに。あ…もしかしてマゾか?
冷てぇぞ?と注意を入れてからその手を握り返した。



「冷た…」
「はは」



再び顔をしかめ、それに対して俺が笑う。けれどしげるは手を離さなかった。何がしたいんだか。



「もういいだろ?お前の手も冷えるぞ」
「うん、いいよ」
「は?」
「俺のせいでカイジさんが冷えちゃったから」



…責任感じてんのか?



「なんか…気持ち悪ぃな…」
「そう?まあ俺も温まりすぎてちょっと手冷やしたいんだよ」
「…そーかよ」



結局自分のためか。それでも俺を気にしてくれたのは少し嬉しい。
ぎゅっと手を握る力を少しだけ強めると、しげるも同じように少しだけ強く握り返した。





この温度がちょうどいい
(そろそろアイス溶けるぞ)(じゃあ食べる)(バニラとチョコとどっちがいい?)(どっちも食べる)(…俺の分は)

繋いだこの手を離さないで!あわよくば俺にもアイスをください!






     * * *
大晦日ですね!雪が物凄く吹雪いてます。どうりで寒いわけだ。
こたつでみかんは王道ですよね。私はこたつでアイスとかおでん食べるのが好きです。コンビニが遠いのであんまり食べれませんけど…!
しげるはきっとハーゲンダッツを買うんでしょうね。カイジさんは買えてもガリガリ君じゃ…げふんげふん。
たまにはハーゲンダッツ食べたいなあ!




 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ