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□鏡よ鏡、鏡さん
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「鏡よ鏡、鏡さん…この世界で1番かわいいのは誰?」
鏡に向かって宇海は訊いた。にっこり微笑んで宇海は言った。
「それはもちろん涯くんですっ」
まるで子供の1人遊び。宇海の視線を感じる。
けれど、俺は無視を決め込んでテスト勉強に勤しんだ。テストが近いんだ。相手なんてしてられない。そうでなくても相手なんてしたくない。
しばらく沈黙が流れたと思えば、突如背中に重みを感じた。宇海が伸し掛かってきていた。
「涯くん無視はさびしいぞー」
「…重いから早く退け」
「せめてこっち向いたらどう?」
仕方なく勉強する手を止めて、振り向いた。
顔が近い。
すぐにノートに目線を戻す。後ろから「照れてる」と笑い声が聞こえた。
「何なんだよさっきから!」
「俺ね、涯くんが世界中で1番かわいいと思うんだ」
「それ…女に言ったらどうなんだ」
「だって俺の世界には涯くんしかいないから」
何を言っているのか理解出来なくて、思わず振り向いた。
宇海のことだからへらりと笑っているんだろうと考えていたが、宇海は真剣な表情をしていた。
目が離せなかった。
「俺の世界には他の人間はいない。だから世界で1番かわいいのは涯くんなんだよ」
「お前って…時々すごく気障だよな…」
拍子抜け。宇海はにっこりと微笑んだ。
鏡よ鏡、鏡さん
(世界で1番俺を愛してるのはだあれ?)(は、)(それはもちろん涯くん!)(うぬぼれんなばか)
(110304)
無意識に涯くんが敬語になってたのですぐに直しました。敬語も年の差感じて好きです。