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□プレゼントはあなた!
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「…プレゼント?」
「うん」


ちらりとカレンダーに目を向けた。
ああ、今日は12月25日の様だ。
世間一般に本日12月25日はクリスマスと呼ぶ。食卓にいつもより豪華な料理が並んだり、ケーキを食べたり、子供はプレゼントを貰ったりする日。
…まさか、しげるがそれを知っていて俺にプレゼントをねだるとは考えていなかった。
もちろんうちの食卓はいつもと変わらず質素なものだし、ケーキも食べたりしない。プレゼントなんて物用意してねぇぞ。


「子供はプレゼント貰える日なんでしょ?」
「だ…誰から聞いた?」
「零」
「…まぁ間違ってはねぇけど」


にやりと笑うしげる。
…ガキの癖に、なんつー嫌な笑みを。もっとにっこり笑ってみやがれ。


「なら俺も貰える…そうでしょ?」
「あのな…」
「俺ね、欲しいものがあるんだ」
「でもお前金なら腐るほど持ってんだろ?」
「まあね」


さらりと肯定するしげる。
ムカつく奴だな…!


「金じゃ手に入らないものだから」
「なんだそれ?」
「大体想像ついてるんじゃないの?」
「はあ…?」


ぴっと俺を指差して、


「カイジさんが欲しい」


…ちょっと予想はしてたけどよ。
俺は握り拳を作って怒鳴った。


「馬鹿っ!馬鹿かお前は…!」
「酷いな」
「意味分かんねぇよ!」
「そのままの意味じゃない」


今まで正面に座っていたしげるは、ゆっくりと立ち上がって俺の隣に。そして俺の髪を少し手にとった。


「カイジさんが欲しいんだって」
「だっ…から!」


その手を振り払ってしげるから逃げるように後ろに下がる。だが、後ろはすぐに壁。タイミングが悪すぎる。


「…そんなに俺とするの嫌なの?」


少し寂しそうな表情をして、溜息と一緒にその言葉を吐き出した。
そんな表情したって俺は男だ!


「男同士で出来るわけねぇだろっ!」
「出来るよ。零たちしてるって言ってたし」
「う、嘘に決まってんだろそんなの!」
「…けど、出来ない事はない」


しげるは再びにやりと笑って、俺に詰め寄った。
とうとう逃げ場のない俺。…なんで俺はいつもこんな子供に負けてるんだ?情けなくて泣けてくる…っ。


「あらら…カイジさん泣かないでよ」
「なっ…泣いて、ねぇよ…!」
「…分かったよ」


流れ出る俺の涙を拭って、うなだれるしげる。どうやら諦めたようだ。


「我慢する…」

ちょっと安心。
しげるはぱっと顔を上げて、珍しくにこりと微笑んだ。


「けど、来年はカイジさん貰うからね」


安心した俺が馬鹿だった。



プレゼントはあなた!
(ケーキで我慢しろよ)(甘いものは好きじゃない)(…)(あ、カイジさんは好きだよ)(俺甘くねぇよ)


 

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