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□どうせなら甘い薬より劇薬を
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今の世の中って本当に楽だ。何でも簡単に作り出すことが出来る。



「何してんだよっ!!」
「あ、涯くんおかえり」



帰ってきて早々、涯くんは俺に向かって怒鳴り散らした。
靴を脱いでずかずか俺に近づき、



「あっ」



さっきまで俺が持っていたジップロックを取り上げた。透明のそれは誰が見ても分かるように、中には粉が凝縮されている。
涯くんだからこそ分かるその粉の危険性。俺はいつも涯くんに取られてしまう。



「もうやらないって言ったよな…?」
「うんそうだね」
「けど今やろうとしてた…!」



一種の麻薬に近いこの粉。俺にかかれば学校でも簡単に作り出すことが出来る。作り出しては、何度も何度も俺は服用しようとしてきた。
まあその度に涯くんに止められてきたわけだが。



「何でだよ!宇海!」
「大丈夫だよ涯くん。いつも言ってるだろ、死に至る物じゃないんだって」
「でも危険な物に変わりないだろ!」
「…それでも止められないよ」



ふわふわしたあの気分。他の物事全てがどうでも良くなる爽快感。
粉を使って狂ってしまえば楽になる。



「そうでもしないと俺はおかしくなっちゃうよ」
「なんで」
「涯くんが好きだから」
「…馬鹿か」
「ほらね…涯くんは応えてくれないだろ?」



ジップロックを握り締める涯くんの顔に少しだけ焦りを感じる。
俺はふふっと笑った。



「だからさ涯くん…それ返して?」
「…それは出来ない」
「じゃあ涯くんは俺を愛してくれる?」
「……」
「涯くんお願いだから」
「っふざけろ…!!」



手を伸ばしても空気を掴むだけで、手を伸ばすことを止める俺。涯くんは懸命にジップロックを俺から守った。

でもね涯くん俺は悲しいだけなんだぜ。どんなに頑張ったって涯くんは俺を見てくれないだろ。もうそろそろ自分に褒美も与えたくなったんだよ。
それに涯くんへの思いを断ち切るには、



「これが1番いいんだ、よ…!」
「!!」



涯くんに体当たりすると、ジップロックが開いて部屋中に粉が舞った。
予想外の出来事に驚く涯くん。すぐに鼻と口を押さえていた。
俺はと言うと、その光景に満足して倒れこんでいた。涯くんを下敷きにして。胸いっぱいに息を吸い込んだらなんだかいい気持ち。



「うか…」
「涯くん…だいすきだよ…!…ふへへっ」
「っ…!」



下唇を噛む涯くんが可愛かったのは覚えてるんだ。

その先何があったっけ?





どうせなら甘い薬より劇薬を
(君も一緒にどう?)




     * * *

ほら、零は頭良いからやばい薬とかも簡単に作り出せちゃうよ!
何度も使ってはどんどん狂って、そんな零を涯くんが心配すればいい。
って言うかごめんなさい。あんまり薬とか詳しくないからめちゃくちゃ低クオリティ。え、いつもと変わらない?あはは!そっか…。でもこれでも頑張ったんです!汗


 

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