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□愛して、愛して、恋をして!
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春が近づいてると言っても、まだまだ気温は低いし寒い日も多い。それでも俺にとっては今が春。むしろ夏のように心は暑い。
そんなことを言ってるのは、俺が今まさに現在進行形で恋をしているから!



「涯くーん!」



3歳年下の工藤涯くん。髪は爽やかな短髪で、顔に大きな火傷跡があるのが特徴的。
大体教室ではいつも1人。時々隣のクラスの…石原だっけ?石原と行動を共にしている。後、赤木しげるともよく一緒にいる。
石原はまだいいけど、赤木しげるは嫌いだからあんまり一緒にいて欲しくない。




「…宇海先輩」



俺の声に振り向いた涯くん。若干嫌そうに見えるのは気のせいかな?



「“先輩”は止めろよ!零でいいって」
「いや…でも先輩ですし」
「敬語もなしっ!」



涯くんは、俺のことを先輩と呼んだり敬語で話したり、マナーをきちんと心得てる。さすがは涯くん!
でもね涯くん、気にしなくていいって言ったのこれで24回目なんだぜ?いい加減気にせず俺と話してよ!



「はあ…」



溜め息を吐いて、俺に背を向ける涯くん。そして歩き出し、俺もそれを追いかけた。すると、涯くんはなぜか足を止めた。



「先輩、何か用ですか」
「ん?一緒に帰ろうよ!」
「はぁ…?」
「涯くんいつも1人で帰ってて危ないしさ、2人で帰れば安全だろ」



って言うのは建前で。もちろん涯くんが危ないってのもあるよ。涯くんが知らない奴に襲われたりしたら嫌だし。でもね、それ以上に一緒にいたいってのもあるんだ。
だって涯くんのことが大好きだから!



「嫌です」
「え」
「俺1人が好きなんですよ。心配してくださってありがとうございます。それじゃ…」



涯くんは走り出した。



「(もう涯くんったら…照れなくたっていいのに…!)」



普通の人だったらショックを受けて、そこで諦めるかもしれない。でも俺は違う。
努力した者は報われるって言うだろ?
涯くんが身に沁みるほど、俺は涯くんを愛し続けるよ。

だって涯くんに恋をしているから!




愛して、愛して、恋をして!
(…っ先輩…分かりました…一緒に帰りましょう…っ)

ほらね、報われるだろ?ああ、走りすぎて疲れた。






     * * *

365日毎日恋をする宇海さん。24時間ずっと恋をする宇海さん。
いつだって涯くんのことを考えてると思います。涯くん人形とか持ってたらこわい。




 

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