YUME

□いただきます
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………気まずい。

出入り禁止である屋上がたまたま開いてるのが見えて。
何も考えずに外に出たら、目が合った。


「……えっと」
「アンタ誰」


焼きそばパン片手にそう聞く男子。目立つ白髪。鋭い眼つき。

もしかしてもしかしなくとも隣のクラスの赤木しげる君じゃないですか。なんか裏でお金稼いでるだとかリアルホームレス中学生だとか言われてるあの人じゃないですか。
どーすんの自分なんてとこに来ちゃったんだよ。ちょっと待って大丈夫?この人普通に人間だよね?怖いんですけど。同い年とか思えないくらい怖いんですけど。実は宇宙人とかそんな類じゃないですよね?未確認飛行物体とか落っこちてない?
ていうかなんかごめんなさい。色々ごめんなさい。頼むから殺さないで!何でもするから殺さないで!その眼つきまじ怖い!なんか分かんないけど怖いです!泣いて良いですか、もう自分泣いちゃっても良いですか、本当に勘弁してください!

ちょ、まじ、頼むからさ…!


「何言ってんの?」
「え、」
「安心しなよ人間だから」


クククと喉を鳴らして笑う。
も、もしかして。


「声に出てた…?」
「別に気にしないけどね」
「ごごごご、ごめん!」


心の中の言葉を口に出してるとか自分アホですか!自虐行為じゃないですか!

あーもう本気でこれは死にましたよ。さよならお父さんお母さんそして妹と犬のペロよ。先に逝きます。天国で待ってます。あれ、でも小さい悪さとかいっぱいしてきたんだよな。つまみ食いとか水出しっぱなしとか妹の漫画勝手に読んだりとか。もしかして受け付けてくれなかったりする?もしかして地獄に行くパターン?ジーザス!勘弁してくれよ神様!くっそうショックが大きいぜ!でもまあ仕方ない、天国でも地獄でもこの際なんでもいい。最後くらいは神様に祈ってやろう、


「アーメン!」
「…アンタ面白いね」
「ぐあまた声に出てた!?…って、は?」


突然、傍らに置いてあったコンビニ袋を差し出された。
歩み寄ってその袋を受け取り、中を見てみるとパンの山。


「食べる?」
「え…」
「ちょっと買いすぎたから食べてもいいよ」
「(これがちょっと…?)」


ここで断ったら何か変だし。断る理由も大して無いし。
フェンスにもたれかかってそのまま腰を下ろした。


「えっと…じゃあ、」


袋の中からクリームパンを取り出して一言。




いただきます
(てか赤木くん給食食べなかったの?)(クラスの人等が緊張して食べれないからね)(えっ…)


 

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