YUME

□ささやかなしあわせ
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「信じられません!」
「だから悪かったって…!」


いくらカイジさんがクズニートだからってクリスマスを忘れているとは思わなかった!

反省を表しているのか正座しているカイジさん。その向かいで私は腕を組んでその様を見ていた。


「ほら俺去年まで独り身だったしさ、クリスマスとか気にしてなかったんだよ」
「でも今年は違いますよね?」
「うう…っ」
「な、泣いても意味ないですからね!」
「ちっ」
「ちょ、計算!?カイジさんのキャラが分からない!」


少しは反省してくれているんだろうけど、反省の色があまり見られない。
あーあ…、悲しくなってきた。
クリスマスって普通、恋人は一緒に過ごすものでしょ?私プレゼントもケーキも何も期待はしてなかったよ。だってカイジさんお金ないし。ただ一緒に過ごせたらいいなって思ってたのに。


「…じゃ、俺バイトあるから…」


それさえも叶わないなんて。


「…気をつけて」


段々と視線は落ちて、笑顔も十分に作れなくて。涙こそ出てこないが、悲しいのは変わりない。


「………はぁ」


溜息を吐いたカイジさんは正座を崩して、小さな声で言った。



「…今日は佐原に変わってもらう」
「…え?」
「仮病でも使って…今日は家にいるから」
「そんな…そこまでしてくれなくても」
「いーんだよ、今日くらいは…!」


だってクリスマスなんだから。


そう言って、「でも一応顔は出してくる」と準備し始めるカイジさん。
……なんでそんなに優しいんだよ。めんどくさいでしょ?放っておけば良いじゃないか。どうしてそこまでしてくれるんだよ。嬉しいじゃないか!


「だって…俺だってお前とクリスマス過ごしたいしよ…」
「っ!」


自然と私の顔に笑顔が戻ってきた。



ささやかなしあわせ
((あなたの隣にいれるだけでいいんです))


 

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