小説

□風邪
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1月某日、天気の良い昼。

僕は某骨董アパートでいつものように過ごしていた。

と、そこへ──…

ガチャガチャ

「?」
「あ゛けろ」

ああ、この声は哀川さんか…

「はいはい」

戸を開けるとやはり哀川さんで、しかしパンプスを脱がず、僕の存在に気づいてもいないように部屋へずかずかと入って行った。

「ちょ、哀川さ…」
「あ゛れ?い゛ーたん何処?」
かなり声枯れてる…何故。

「僕は此処ですよ」
「あ゛ああ゛?」
振り返る哀川さん。

?!

目が虚ろで顔が少し赤い。いつもの引き締まった感じがしない。
…いつもなら鍵をこじ開けて来るのに今日は僕に開けさせたし。

もしや二日酔い?
いやそんな馬鹿な。




───────風邪?




「お、いーたん゛じゃん゛」
「…声、大丈夫ですか?」
「へへえ」

…訳が解らない、明らか可笑しい。


するといきなり哀川さんは畳に倒れ、机の角に頭をぶつける。
「わ、大丈夫ですか!」
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