色々。

□すべてを包み込む貴方が愛おしくて
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ふとしたことで目が覚めた。
ただ、寒かっただけ。
珍しいな、と思いつつもシーツに潜り込んだ。



すべてを包み込む貴方が愛おしくて



シーツに埋もれるように、天井を仰ぐ。
けれど、だんだんそれにも飽きてきて。
横になろうとしたら身体中が重たくて、変なところが痛い。
それでも夜明けと共におきてしまう彼の寝姿が見られるなら、と無理して動く。
動いた隙間から風が入り込み、寒い。
朝の匂いを感じた。
それともう一つの、愛しい匂い。

(あ・・・いい匂い…ユウの匂いが、する・・・)

コロンなど嫌がってつけない彼のことだ。
シャンプーかソープの匂いだろう。

(…いい匂いだなぁ・・・)

とろんと彼に抱きしめられたまま見上げる。
眠っているのだろうか。
長い睫毛が彼の双眸を覆っていた。
何だか急に今の時間が愛おしく感じる。
いや、彼といる時はいつだってそうだ。
いつもただ流れるだけの時間が、愛おしい。

―――そして、彼も―――愛おしい。

その閉じられた唇に己のそれを軽く押し当てる。
ちゅ、と小さく音を立てた。
えへへ、とユウの腕の中に自分から深く、潜り込む。
その背にぎゅっと腕を絡めて。

(…幸せ、だなぁ…)


(・・・可愛いやつめ)

うっすらと瞼を上げれば、幸せそうに眠る恋人。

優しい香り。
温かなぬくもり。
穏やかな時間。
周りを取り囲む、すべてを包み込む貴方が

―――愛おしい。


Fin. 
(06.09.30)

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