リボーン

□君なんて僕に溺れてしまえばいい
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午後、それもどちらかと言うなら昼休みに近い時間と言うのは余りにも静か過ぎる。
いやそれは僕と同じで五月蝿い音を嫌う(根本的には少し違う)彼と過ごすには却って良いのだけれど、なんて僕らしくも無いのかも知れない。
聞こえるのが遠くの体育だろうかの掛け声、鳥のさえずり、彼と僕の息遣いだけと言うのは本当に無音に近い程静かで午後の陽気も手伝って柔らかな睡魔が流れているかのよう。

さて、そんな静寂な世界で在校生でも無いのにやって来る彼と共に食事をして五月蝿い昼休みの空間から抜け出すように屋上である程度時間を潰してから誰の邪魔の入らない(入れさせないけれど)僕の部屋に来た僕は彼と何か語るでもましてや勉学するでも無く、親鳥にくっついて来た雛鳥のような彼をソファーに押し倒していた。
音も無く伸ばした掌は彼の思っていたよりも柔らかな髪に触れ、嫌がるでも無くただほんの少しだけ驚いたように目を丸くして受ける彼に小さな興味を抱いた。
彼は一体どこまで触れば嫌がるのか彼に境界線は存在するのか未だ見たことも無い彼の表情を知ってみたい、と。
小さな、本当に小さな興味心にゆっくりと片方の口角を持ち上げて、今度は惚けた猫のような表情をする彼の顎を捉えてそう、と唇を重ねると言うよりもただ単に合わせたの表現が適切かも知れない。
抵抗が無い、かと言って許すように唇を開くでも無い彼のその柔らかな双唇を押し開いて舌を挿し込もうとすれば閉じられたままの歯列に当たって阻まれるけれど掬うように唇を歯を舐めればゆっくりと開くその白い壁。
いつも明るい声と笑いを紡ぎ出す口内は未知とも言うべき世界で水音を立てながらまるで味わうかのように角度を変えて何度口付けをしようと彼の反応はそれまで通りで。
だからこそ僕の狂気とも言うべき興味の心は転がるように珍しくも更に勢いを増す。
銀糸を引く唇を離して次に押し開くでもなく開かれた形の服から見える首筋、鎖骨に咬み付くように歯を強く押し当てて様子を伺えば小さな呻きが吐き出された呼気と共に零れて僕の髪をふわりと撫でる。
ぎりり、更にまるで僕の物だとでも言うような深い執着の痕が残る程、いやそれ以上に食い千切る程深く咬んで見れば咲いた紅華と歯痕に思わず笑みを浮かべて。
なぞるようにちろ、と滑らせた舌先に身体下の彼がほんの僅か跳ねたのを感じてそう、と僅かに乱れた着衣の下から指先を直接肌へと静かに滑らせた。
絹のようなと例えれば良いのかその滑らかな肌の感触は男にしては柔らかで、かと言って女にしては無駄な肉なんて無い身体は少しばかり冷んやりと春の陽気に当てられたような僕には心地良いくらいの温度。
更に指を這わせればひくん、とやはり小さく揺れた身体に触れ、宛ら満足気とでも言うように鎖骨を舐め上げ筋をなぞるように唇を舌を滑らせて丁度耳下の、皮膚が一番とは言わないけれど他と比べると極端に薄い其処へもう一度歯を立てた。
呻くようにけれど文句等は一切紡が無い彼の少しばかり荒い吐息の向こうで五限目終了の鐘が鳴り響いたような気がした。






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