リボーン

□どちらに転んでも同じならば
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「ねぇ、何で抵抗しないの?」

散々人の口内を舐め回して散々人の身体を撫で回した彼がそう尋ねたのはボクのズボンに手を掛けた時だった。
今の今まで人の身体を好き勝手しておいて、今更何を言うかだけれどそこは何様僕様雲雀様。
まさか彼に押し倒されるなんて夢にも思わずで、いや実際は薄々感付いていたのかも知れないけれどそれでもまさか男である彼が同じ男であるボクを押し倒すとは思わなかった。
一瞬分からず惚けている間に髪を撫でた手が顎を掴んで口を塞いで催促するように舌が歯を舐めるから薄く開けば舌を吸われて唾液でさえも舐め取るかのようなその深い口付けを切長の目を開いて行う彼は大人なのか子供なのかさっぱり分からない。
いや彼の行動、彼自身が今一番分からないのだけれど。
ともかくようやく長い口付けから解放されると今度は首をまるで肉食獣のように咬み付かれて血が滲む所か吹き出すんじゃなかろうかと思う程の強さと痛さに思わず涙が浮かんだ。

「抵抗しないならそのまま続き、するよ」

よくもまぁぬけぬけと、抵抗した所で現状は何も変わらないだろうになんて、何でボクは彼を受け入れる体制なんだ状況が状況で場合が場合ならボクが上でもって違うそう言う上下の話だけど話じゃないんだってそんなこと思っている内に馬乗りになっている彼は半分以上捲れ上がったシャツを更に押し上げて、声、抑えられそうに無かったら咬むといいよ、ってそれボクのシャツだから。
一度こいつに一般常識と言う物を教えてやらねばとか思っていると今度は完全にズボンと下着を同時に下ろされてただ声も無く音も無く脱がされ広がされた足内をじっと見下ろされる。

「…な、に?」

余りの現実の酷さに思わずひくつく頬を気にしながら問掛ければ彼は別に、と湿らせも濡らせもしない指をいきなり俺の後孔に突き立てた。
指一本だろうと何も施していないそこはただ違和感を訴えて、指を動されて痛みに小さく呻きながら眉根を寄せれば見下ろしたままの彼が薄く、へぇ、と頬に笑みを浮かばせるのが見えた。
先程までもしかしたらからかいか新たな遊び(ゲーム)かも知れないという淡い期待は確かめるように動かされる指でずたずたに裂かれた気分だ。
いや彼にとっては新たな遊び(ゲーム)なのだろうけども。



どちらに転んでも同じならば



ボクは彼にボク自身を委ねることにした。



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