リボーン

□柵-しがらみ-
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出口が見えない。

周りはどんどんと時間と共に流れて変わってボクだけが不自然に取り残されていく。

流れて流れてどんどん流れて隣もその隣も、ボクの周りの砂時計はサラサラ流れるのにボクの砂時計だけが詰まって止まって。

誰とも変わらずに呼吸もして心臓も動いて血も流れて髪も伸びて。

何ら変わらないのに根本的に違う時間の流れ。






《不老不死》





人はそれを最高の魔術と呼び、憧れ求め続ける。



…最高の魔術だって?



違うこれは呪いだ、時間に独り取り残されるという最悪の呪い。

血がどんなに流れても心臓をどんなに抉っても声が嗄れるほどに泣き叫んでもボクにこの世からの終わりが来ることは無くて。





ただ独り取り残される。





痛みは感じるのに、
死は感じない。

周りの死に取り残されて死を見届けることしか出来やしない。

それは哀しくて悲しくて痛くてボクはただ独り、時代と世界と人に取り残されて。



だから自分を殺してくれる人を欲した、心から。



この不条理で混濁した世界から助け出してくれる人を。



泣いて嘆いて渇望し切望し、





そして出逢った。





「おや、また出逢いましたね」

「───骸、」







ボクを殺してくれると約束してくれた唯一の人に。




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