【No Title】

【入学編】入学式にて
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忍足side





午前のHRが終わり、2年生以上は委員会や部活動の準備を始めだした

忍足もまた、テニスバッグを担ぎ部室に向かう



「侑士!早く部活行こうぜ!」


「なんや、岳人かいな、驚かすなや」



下駄箱で向日が忍足を見つけ、背中をバンッと叩き声をかけてきた

2人は靴を履き替え、エントランスから出ようとすると
少し人の塊があることに気付く



「(部活勧誘は明日からのはずやけど、なんかあったんか?)」



向日と目を見合わせて人だかりの方に意識を向けると
女の子の周りを数人の男が囲んでいるようだった


その女の子の髪は銀髪で瞳は青い色をしており
2人とも例の噂の女の子だと思い至る



「ねえ、野球部のマネージャーどうかな?」


「いや、水泳部もいいよ
霧原さんかなりスリムだし良いタイム出ると思うよ!」


「うちの美術部レベル高いから素晴らしい絵が描けるようになるよ!
共にどうかな?」



数人ではあるが、女の子が男に囲まれてなかなか抜け出せないだろうと思われ
2人は助け船を出すか逡巡する


しかも今日は部活勧誘の日ではないため、咎められるのは男達のほうだ


動き出すか、と2人が考えた時、見た目よりはっきりと
しかし落ち着いた声が男達の言葉を遮った



「すいません、興味ないです
行く場所があるので通してもらえますか?」



男達は言わずもがな、忍足と向日やその周りにいた生徒達もまさか
そこまではっきり断ると思っておらず、一瞬皆固まった

その隙に琥珀はその場を抜け出て颯爽と運動エリアの方に去って行った



「なんや、えらいハッキリした子やな」


「すげえな、上級生複数人相手にあそこまではっきり言えるの
クソクソ、めちゃくちゃかっけえ!」



2人とも琥珀の行動に感心し、忍足は軽く部活動勧誘していた男達に
勧誘は明日からにしときや、と声をかけて部室に向かって歩いていった



「(そういやあの子テニスコートの方向かっていったな
めっちゃ威勢のええ子やったけど、あの子も跡部狙いなんかなあ)」





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